桜色のスパークリングとふわふわ白カビチーズで、夢心地な甘い春を楽しんで
暖かな陽光を浴び、生き物たちが冬の休眠から徐々に目覚め始める3月。まだ少し肌寒くても、春告鳥の「ホー ホケキョ」の声が聞こえたら、待ちに待った春の到来です!ブドウ畑で木々が新芽を膨らませている頃、牧場では牧草が芽吹きだします。お母さん羊たちは出産を終え、格別に美味しいミルクをたっぷりと出し、フレッシュな羊乳チーズが旬を迎えます。
イタリアでは、羊乳から作られるチーズを「ペッコリーノ」と呼び、これに産地をつけて「ペッコリーノ ロマーノ(ローマ産)」「ペッコリーノ サルド(サルデーニャ産)」のように名付けられ、中南部を中心に昔から多くの羊乳製チーズが作られてきました。今月ご紹介する「グッチョ」は、古い歴史を持つ「ペッコリーノ トスカーノ」の産地トスカーナ州で作られながらも、その伝統的なハードタイプの「ペッコリーノ」とは一線を画すチーズです。ビロードの様な白カビ。クリームがとろりと流れそうな柔らかい生地。ミルクは牛乳と羊乳の混乳製です。羊乳は牛乳や山羊乳に比べてやや乳脂肪分が豊富なため、チーズにすると独特な甘みを持ち、濃厚で力強い味わいになります。羊乳に牛乳が混ざる事により、羊乳のコクが残りながらも、軽やかで優しく食べ易いチーズが生まれます。
このチーズを開発したイル フォルテート社は、フィレンツェから北に30km、ムジェッロ渓谷ヴィッキオ村で、同じ志をもつ村の仲間と共同酪農場を営んでいます。1977年創立以来伝統的なスタイルを保ちつつも、「グッチョ」のように現代の感覚に見合う新しいチーズづくりも積極的に取り組んでいます。