とろ~りハイジのチーズと芳醇なシャルドネで身も心も温めて
「今夜はお鍋にしない?」
寒い日はふとこんなセリフが出てくるもの。家族や仲間と囲むお鍋は、凍えた体を温め、心までぽかぽかにしてくれますよね。国は変われどスイスやフランスにも、日本のお鍋のような位置付けのお料理が存在します。それが今回ご紹介する「ラクレット」、別名「ハイジのチーズ」です。名作「アルプスの少女ハイジ」の中で、おじいさんが山小屋の暖炉でチーズを炙り、とろ~り溶けた表面を削ってハイジの黒パンにかけてあげている、あのチーズです。
「ラクレット」の発祥はスイス南部、マッターホルンを始めアルプスの名峰を有するヴァレ州。あるワイン醸造家が寒い冬の日、半分にカットしたチーズを火にかざして溶かし、友人たちに振る舞ったのが始まりだと言われています。溶けたチーズをナイフで「削り取る」意味の「ラクレ」から、「ラクレット」という料理名になり、ラクレット用のチーズも「ラクレット」と呼ばれるようになりました。料理と言っても用意するのは「ラクレット」に茹でたジャガイモ、パン、そしてシャルキュトリー(ハム、サラミ類)だけ。とろとろに溶かした「ラクレット」をジャガイモにかけて熱々を頬張りワインをゴクリ。まさに山のご馳走です。その美味しさと手軽さ、そして寒い中ラクレットグリル(「ラクレット」を溶かす専用の機械)をワイワイ囲む楽しさが、スイスのみならず近隣諸国でも冬の大定番として親しまれている理由でしょう。