今回ご紹介するラクレットはスイスと国境を接するフランス フランシュ=コンテ産のもの。スイスのものに比べると味わいは優しくまろやかで、ミルクの甘みがたっぷりと感じられます。
ティスティング会では実際にラクレットグリルを設置。チーズが溶け始めるとすぐに濃厚な香りが漂い「わぁ?!」と歓声が上がりました。チーズが完全に溶けるのが待ちきれなくてそわそわしてしまいます。その間、皆でワインの相談タイム。
「現地ではラクレットにどんなワインを合わせるのでしょうか?」
「辛口白ワインが多いですが、ラクレットと一緒にシャルキュトリーも食べますから赤ワインも飲みますし・・・とにかく気軽なデイリーワインですね。」
そうなのです、「ラクレット」は気取らない郷土料理。フランスの若者のラクレットパーティーでは、各自が持ち寄った様々なワインを次々と開けて飲んだりします。
熱々の「ラクレット」が皆に配られたところでティスティング開始。辛口、甘口、スパークリングと色々なワインを合わせましたが、その中で一番人気を得たのがチリ サンタ カロリーナ社の白ワイン「シャルドネ グラン レセルヴァ」です。
サンタ カロリーナ社は1875年、ドン・ルイス・ペレイラ・コタポス氏により南米チリの首都サンティアゴ市に創設されました。2005年から品質の革新に向け大型投資を進めています。
ナッツを思わせる樽のニュアンスが、温めて溶かす事でより一層風味を増した「ラクレット」の香ばしさにマッチし、互いを引き立てます。また、チーズの濃厚なミルクの旨味が味蕾いっぱいに広がった所にワインを口に含むと、ふくよかなシャルドネのコクがチーズを包み込み、思わず目を閉じてその幸せなハーモニーにうっとり。最後にはシャルドネのほんのりとした苦みが心地よく舌に残ります。
家にラクレットグリルがなくて試せない?いえいえ、心配ご無用。1.5cm程にスライスした「ラクレット」をバゲットやジャガイモにのせてトースターでグリルするだけでも充分に楽しめます。大勢でワイワイという本来のラクレットのイメージとは少し離れますが、少人数でワインとチーズを堪能する「大人ラクレット」も乙なもの。このワインはそんなシーンにピッタリの一本です。
最近では日本でも低価格でラクレットグリルが手に入るようになりました。本場スイスのようにみんなでグリルを囲んでワインもチーズもボリュームたっぷり楽しみたいという方におすすめしたいのは、2012年国産ワインコンクール金賞/コストパフォーマンス賞を受賞した「サントリー ジャパンプレミアム甲州」。
「ジャパンプレミアム」とは、ワンランク上の贅沢を目指し、厳選した国産ブドウ100%でつくられたワイン。その中でも、日本固有品種や、欧州系品種ながら日本独自の味わいを持つブドウに着目し、品種の個性を最大限引き出した「ここにしかない日本ワイン」それが「サントリー ジャパンプレミアム品種シリーズ」です。
甲州は千年以上の歴史を持つとされる日本古来のブドウ品種で、その繊細な味わいが「日本的な美しさ」のあるワインとして、国内のみならず世界でも今大きな注目を浴びています。透明感のある淡い黄色、溌剌とした酸、やさしく上品な味わい。そんな「甲州」の個性を活かすため、この「ジャパンプレミアム甲州」は、果汁を凍結し味わいを凝縮したワインと、シュールリー(※1)で仕上げたワインを絶妙なバランスでブレンドしました。金柑などの和柑橘を連想させる香りの中に白い花や綿飴を思わせる香りも感じ取れ、控えめながら清々とした印象です。
「ラクレット」からくるミルクのような甘みが、「ジャパンプレミアム甲州」のほんのりとした甘みと調和します。また、チーズのまろやかな風味が甲州の爽やかな酸味を際立たせ、ともすると重くお腹に溜まりがちなチーズ料理も、軽やかな甲州のおかげで胃の負担無くさっぱりと味わえます。それにしても、スイス アルプスの山々を望む土地で生まれたこのチーズが、遠く離れた日本の富士山を拝する山梨県で生まれたこの甲州とこんなにも相性が良いのは嬉しい驚きでした。
さぁ次はあなたの番!子ども時代に誰もが憧れたであろうアルプスの少女ハイジに思いを馳せて、仲間を集めて鍋パーティーならぬ熱々ラクレットパーティーはいかがでしょうか。
※1 ワインが澱の上にある状態で静置しておく方法。澱の旨味が抽出され、風味に深みがでる。