チーズとワイン連載コラム100回記念 「ローヴタン」と「ローラン・ペリエ ブリュット L・P」の香りの花咲くマリアージュ
夏らしい暑い日が続く毎日ですがいかがお過ごしでしょうか?
サントリー ワイン スクエア 食とワイン・チーズとワインの連載コラムは、8年前の2003年春からウェブサイトでの掲載が始まりました。季節ごとに旬のチーズや相性のよいワインをご紹介し、今回で100回目を迎えます。
記念すべき100回目に皆様にご紹介するチーズは、きらめく太陽の光がさんさんとふり注ぐ土地プロヴァンス地方でつくられている、おしゃれな山羊のチーズ「ローヴタン」。夏のバカンスを過ごしているかのような気分を味わえるチーズです。
「ローヴタンRovethym」はその名もRove(ローヴ種)の山羊の乳で造られ、thym(タイム)の風味をつけたシェーヴルです。古くから南仏の地域で飼われているローヴ種の山羊は、茶色からこげ茶色の毛に覆われ、左右に伸びる長く平らな角が特徴的です。乾いた南仏の土地に生えるタイムやローズマリーを食べ、良質のミルクを出すことから、最近はローヴ種にこだわって飼う山羊農家も増えています。
「ローヴタン」は100g程の大きさで、形はまるで大輪のチューリップや百合の花のつぼみのようなしずく型をしています。自然なしわが寄ったクリーム色の表皮に覆われ、中央に縦に1本窪みがあります。そこに地元のハーブ、タイムが一枝あしらってある可愛らしいプロヴァンスのチーズです。伝統的な製造方法で丁寧につくられ、約3週間かけて熟成します。熟成中、タイムの香りが(時にこのハーブはローズマリーのこともありますが)、チーズに浸透し、とても華やかで爽やかな南仏の香りをまといます。
まだ熟成が若いしっとりとした食感のものでも一口食べると、まるで南仏で休日を過ごしているかのような清々しい気持ちになります。心地よい酸味と共にきめ細やかな組織が、タイムやローズマリーの風味と合わさって溶けていきます。