EUお墨付きのカマンベールと50年に一度といわれる天候から生まれた赤ワインの心喜ぶマリアージュ
6月といえば日本は梅雨の季節ですが、ヨーロッパは清々しくとても気持ちいい季節です。
今回は食べ頃の旬真っ只中の「カマンベール ド ノルマンディー」をご紹介いたしましょう。
フランスのパリから北西に広がる地域のノルマンディー地方で生まれたカマンベールは、今や白カビチーズの代名詞として世界的スーパースターにのし上がったチーズで有名です。世界中で「カマンベール」と呼ばれるチーズは数多くつくられています。しかし、今回ご紹介する「カマンベール ド ノルマンディー」はノルマンディー地方産という原産地を名乗ることが許されているフランス国内はもちろん、EUのお墨付きのカマンベールです。牛の無殺菌乳を使うことが義務付けられ、今でも伝統的な製法によって製造される、直径10.5~11cm、高さ3cm、重さ最低250gの円盤型の白カビチーズです。
「カマンベール ド ノルマンディー」の故郷であるノルマンディー地方はフランスの北側に位置するため、葡萄が生育しにくいことからリンゴの木や洋ナシの木が栽培されています。リンゴの発泡酒シードルや洋ナシの発泡酒ポワレ、蒸留酒カルヴァドスが造られる産地としても知られています。北から湿った海風も吹く地域なので比較的降雨量もあり、牧草がよく育つ環境です。豊富な牧草を食んだ牛から豊富なミルクを産出することからミルクの油田地帯だという方もいるほどです。チーズをはじめ、バターや生クリームなど数多くの乳製品の名産地として知られます。
この時期青々とした牧草地には、ノルマンディー地方の伝統牛「ノルマンド」が放牧され美味しそうに牧草を食む牧歌的な風景がみられます。冬の干草に比べ放牧された質の良い牧草を食んだ牛からはカロテン豊富なミルクが搾れ、「カマンベール ド ノルマンディー」チーズの組織は少し黄色味を帯び、実に風味豊かなチーズになります。出荷され、賞味期限1週間ほど前ぐらいから中心部のチョーク状のぽそぽそした組織が熟成によってソフトになります。最低熟成期間は21日ですが、芯がなくなった頃が食べごろのサイン。表皮の白カビの色もところどころに茶色の斑点がみられるほど熟成が進んでくると香りも複雑になり「カマンベール ド ノルマンディー」本来の持ち味が楽しめます。