このチーズに合うワイン

今回皆様に「カマンベール ド ノルマンディー」に合わせるワインとしてご紹介したいのがジョルジュ デュブッフのクリュ・デュ・ボジョレーである「ジョルジュ デュブッフ フルーリー」です。
ボジョレーの帝王と呼ばれる名醸造家ジョルジュ デュブッフの魅力は「命のよろこび」にも似た味わいと称され、その生き生きとした味わいで世界を魅了し続けています。ジョルジュ デュブッフの目印は、美しい花のラベルが有名ですが、今回一押しのワイン「フルーリー」はその名もお花畑という意味をもち、ボジョレーの伝統的な葡萄、ガメ種で伝統的な醸造法を用いてつくられます。

マリアージュ会のメンバーも「カマンベール」と「ボジョレー」というこの定石な組み合わせには期待を持ちつつ、他のワインと比較しながらテイスティングを始めました。
色調は紫がかったやや濃いルビー色。2009年は50年に一度といわれた天候が良かった年で、赤いベリーなどの凝縮した果実味が豊かに香ります。ボジョレーの典型的なフレッシュさ、生き生きとした楽しさの中に、洗練された深みの心地よさも加わった赤ワインです。テーブルのあちらこちらから
「ただ旨い!」とうなずくメンバー。
「チーズとあわせるとフルーリーがより美味しく感じる!」
「ワインの赤いベリーの香りが華やかになり、香りだけでもこれはいける!」
「果実味とチーズの塩味とのバランスが良い!」
とよいコメントばかりが飛び交いました。実際ワインだけ飲んでいる時よりもチーズを合わせた時のほうが、より赤ワインの果実味を豊かに感じ、チーズもより複雑味が増して美味しさ倍増しました。まさしく美味しいもの好きの「心がよろこぶ」組み合わせになりました。

もう1つのおすすめしたいワインはブルゴーニュの伝統を担ってきたブシャール ペール エ フィス社がつくる白ワイン「ブシャール ペール エ フィス ブルゴーニュ シャルドネ “ラ ヴィニェ”」です。

創業1731年の醸造元で、ワイン商でもあるブシャール社が大躍進をしたのはフランス革命の時代。教会や貴族の所有だった葡萄園が民間に払い下げた機会に、優秀な畑を購入し続けました。現在ではコート・ドール最大の葡萄園主として知られています。畑は伝統的な農法で、収穫量もぎりぎりまで制限し、凝縮味を増した葡萄を選果して収穫後、丁寧に醸造されます。

「ブシャール ペール エ フィス ブルゴーニュ シャルドネ “ラ ヴィニェ”」はコート・ドールとコート・シャロネーズのシャルドネ種を100%使用した白ワインです。色調は輝き透明感のあるややグリーンがかったやや淡い麦わら色。華やかなリンゴや洋ナシの果物のような香りに、マロラクティック発酵からくる乳製品を連想させる香り、心地よい木樽熟成からくるほのかなヴァニラのような香りが調和します。口に含むとまろやかな酸味が広がると同時に2008年産の葡萄がよく成熟した果実味の凝縮感が感じられ、絹のようななめらかな印象が広がるまさに、本場ブルゴーニュの典型といえる白ワインです。

カマンベール ド ノルマンディーと合わせると、ワインのもつ乳製品のような香りやまろやかな酸味とコクによって、無殺菌乳製の深いミルクの風味が引き立ちます。まるで風味豊かなバターのように感じられました。また、白カビのマッシュルームのような香りや風味も白ワインの木樽からくるヴァニラやナッツのような香りに調和しました。更に、チーズのソフトになった内側の口どけの良さがワインのまろやかな酸味によってミルキーさが増したように感じました。
メンバーの中にはさらにこの調和の良さをもっと追究したいということで
「ジョルジュ デュブッフ プーイィ・フュイッセ」の方がより凝縮感や複雑さがあり、合うのではないか。」
と想像をめぐらすものもおりました。
白ワインと白カビチーズは、チーズのミルクの風味が増し、皮の風味にも合うという、実はとっても相性の良い組み合わせなのです。「白&白」の組み合わせもぜひお試しくださいませ。

今回ご紹介した「カマンベール ド ノルマンディー」はもともと、18世紀末のフランス革命時にパリからノルマンディーに戦火を逃れてきた司祭様が、カマンベール村の近くのマリー・アレルという農婦にかくまってもらったお礼に、ブリの製法を伝えたことから製造されるようになったという歴史をもつチーズです。ブシャールもフランス革命をきっかけに躍進したつくり手です。ちょうどカマンベールもその時代に誕生し、今に引き継がれています。

来月にはフランス革命記念日がやってきます。
ちょうど食べ頃の旬を迎える「カマンベール ド ノルマンディー」と命の喜びを感じる「ジョルジュ デュブッフ フルーリー」で心の喜びを楽しむのも良し、ブシャール社の白ワインとの白&白のマリアージュを楽しむのも良いでしょう。

1st

ジョルジュ デュブッフ フルーリー

ジョルジュ デュブッフ
フルーリー

フランス
ぶどう品種 ガメ

ボジョレーの帝王と称される名醸造家ジョルジュ デュブッフが、ボジョレーの理想の味わいを追求し、醸し出すボジョレーワイン。フルーリーは、「花」という意味。その名の通り、ユリやアイリスを思わせる甘い香りが漂う、優しい口当たりのワインです。ボジョレー地区の中でも最も格上に位置づけられるクリュ・デュ・ボジョレー(10の村名ボジョレー)のうちの一つです。

2nd

 

ブシャール ペール エ フィス
ブルゴーニュ シャルドネ “ラ ヴィニェ”

フランス
ぶどう品種 シャルドネ

創業1731年のブルゴーニュワインの伝統を担ってきた「ブシャール ペール エ フィス」社のワイン。コート・ドールとコート・シャロネーズ産のシャルドネ種を100%使用。華やかなブーケと果実味、絹のようななめらかさが特徴です。まさに、本場ブルゴーニュのシャルドネの典型といえるワインです。