同郷同士が織り成す至福のマリアージュ
毎年のことですが、月日が過ぎ去るのはあっという間。2009年のカレンダーもあとわずかとなりました。心なしか道行く人々の様子がクリスマスや大晦日を前にだんだんそわそわしてきたように見えますね。1年を通して、ちょっとした贅沢が許されるのは12月ならではかもしれません。今回はクリスマスに、また1年を締めくくるのにふさわしい華やかなワインとチーズのマリアージュをご紹介いたします。
イタリア語で“酔っ払い”を「ウブリアーコ」と言いますが、まさに酔っ払いチーズの名がぴったりのチーズが「ウブリアーコ ディ アマローネ」です。このチーズが生まれたのはイタリアが、カポレットの戦いで敗戦した1917年のこと。政治的略奪は食料にまで及び、農民たちは冬場に必要な食料を守る為、夏場に製造されたチーズを秋に収穫したぶどうの搾りかすの中、あるいはワインを仕込んだ樽の中に一緒に隠してしまうことを思いついたのです。その結果、チーズにワインの香りが移り、これまでになかった感動的な味わいに変化していったと言われています。
今回の「ウブリアーコ」はまた格別で、1~2年熟成した「モンテ・ヴェロネーゼ」や「アズィアーゴ」というチーズを同郷の赤ワイン「アマローネ」に漬け込んだものです。赤紫色に染まった表皮はもちろん、チーズの生地にまで染み込んだワインの香りは他にはない美しさです。染み込んだワインのおかげで生地はしっとり。口に入れた瞬間に広がるワインの風味と、噛みしめるほどにほんのり広がるミルクの甘みは、贅沢な気分にさせてくれます。