同郷同士の穏やかなハーモニー。
軽やかな白ワインとイチジクの葉にくるまれたチーズ。
鮮やかな緑に早朝の深呼吸が心地よいこの季節。桜の花が散り、初夏を迎えるまでのわずかなこの時期はあっという間に過ぎ去りますが、だからこそ大切にしたいものです。
さてこの時期にぜひご紹介したいチーズがイタリアのソフトタイプ、「ロビオラ・フィア」です。
産地であるイタリア・ピエモンテ州の丘陵地帯の村々の農家では牛も羊も山羊も飼っているところが多いのですが、この「ロビオラ・フィア」は木苺やタイム、イバラなどを食べた山羊のミルク100%でつくられています。ロビオラ・フィアのフィアはこの地方の方言で「イチジクの葉」という意味。その名の通りイチジクの葉でチーズが包まれています。イチジクの葉で包むことで昔から保存性を高めてきました。イチジクの葉に包まれていない状態のチーズは「ロビオラ・デイ・ロッカヴェラーノ」と呼ばれています。
熟成が進み少しずつイチジクの葉の香りがチーズに移ると、それはそれは艶やかです。日本の伝統和菓子の桜餅や柏餅に通ずるものがあります。熟成の若いうちは葉も青々とし、酸味が爽やか。熟成と共にチーズは締まり、葉の色は深くなり、爽やかな味わいからさらに旨みが増していきます。