楽しげに心も弾むマリアージュ。スペインのカヴァとほどよく熟成したシェーヴル
夏真っ盛りの今、チーズの中ではシェーヴル(山羊乳チーズ)がまさに旬。シェーヴルは形状に特徴があり、今回の「サントモール・ド・トゥーレーヌ」は、薪(まき)のような棒状の形をしています。その中心部には1本の藁(わら)が通っていて、この藁はチーズの形が崩れるのを防止し、内部に空気を通す役目があります。また表面にまぶしてある黒い木炭粉は酸味の中和と、チーズを良い状態で熟成させる為の環境をつくっています。熟成の若いうちは爽やかな酸味が楽しめ、熟成が増すと水分が蒸発し、ミルクのコクが増してヘーゼルナッツを思わせるような風味になっていきます。ひと口に「サントモール」と言っても作り手によって味わいは異なり、どのように熟成をさせたかも重要となってきます。
今回試食した「サントモール」は、フランスで今、最も注目されている若手熟成士、ロドルフ・ル・ムニエル氏が手掛けた素晴らしい熟成状態のものでした。表皮からはナッツのような香ばしさが漂い、中身は引き締まりねっとりと凝縮したミルクの旨味とほのかな酸味が口いっぱいに広がります。