初夏にふさわしい爽やかシェーブルと、華やかな春のボジョレー
風薫る五月。と言いたいところですが、今年はすっきりとした五月晴れが続きませんね。でも、日に日に、春から夏へと季節は移り変わっています。
さて、初夏のチーズを代表するのが「シェーヴル」です。春に出産した山羊の乳量も増えるため、市場にもたくさん出回ります。新緑の季節ですから牧草もぐんぐんと伸びて、山羊たちにとっても最高の季節になります。特に春の牧草はミネラルがたっぷりと含まれており、量だけではなく質も高まる季節なのです。
シェーヴルの中で一番の人気を誇るのが、コロコロとした「クロタン・ド・シャヴィニョル」です。産地はかの白ワインで有名なサンセールの丘の周囲に点在する村のひとつ、シャヴィニョル村です。かつてはどこの農家もブドウの栽培とチーズ製造を同時に行なっていましたが、戦後の急速な近代化で自給自足は激減していきました。この村で熟成を専門に行なうデュボワ家の店頭には、熟成10日のフレッシュの状態から4ヶ月熟成のものまでの熟成別のクロタン・ド・シャヴィニョルがずらりと並んでいて壮観です。少しずつ水分が飛んで小さくなっていきますから、熟成の課程もよく分かります。日本で人気があるのは、12日熟成の「ドゥミ・セック」。フレッシュの状態ですから、オーヴンで焼いてサラダと一緒に食べるのがお勧めです。