思いこめて贈りたい ハートのチーズに愛のワイン
今年もヴァレンタイン・デーが近づいてまいりました。フィーバーぶりは加熱する一方ですね。思いを伝える手段はまず「カタチ」から…。というわけで、今回のテイスティングでは、愛の聖人「サンタムール」とハート型のチーズ「クール・ド・ヌーシャテル」の相性を検証しました。予想通り、というよりも予想以上のマッチングにテイスティング隊はしばし無言になったほどです。
白かびに覆われた「クール・ド・ヌーシャテル」の誕生にはロマンチックな逸話があります。百年戦争の頃、ヌーシャテル村の女性が、敵国イギリス兵士と恋に落ち、ハート型のチーズを作ってプレゼントしたのが始まりだと言われています。ヌーシャテル村のある北ノルマンディ、ブレイ地区は古くからチーズ造りが盛んだったらしく11世紀の文章に記録されています。この話が本当なら、ヌーシャテルはノルマンディで最古のチーズのひとつ、ということになりますね。ヌーシャテルには煉瓦型や円筒形、四角形など6種類の形と大きさが存在します。とはいえ、一番ポピュラーなのがハート型「クール」です。姿が可愛いのでマイルドな風味と思われがちですが、意外と塩気が強く個性的な味わいがあります。チーズの世界も減塩傾向にありますが、クール・ド・ヌーシャテルは依然として塩味が際だっているのが特徴です。