滑らかなハーモニーが魅力的 フランスのロカマドゥールと、チリのカルメネール
南西フランスのケルシー地区屈指の観光地、ロカマドゥール。断崖絶壁の上には民家が居並び、教会がそびえ立っています。コイン型のチーズは、歴代の国王たちがこぞって訪れたという、巡礼地ロカマドゥールの歴史を背景に、この地方の特産品として知られてきました。オック語(中世プロヴァンス語)で「小さい山羊乳チーズ」という意味の「カベクー」と呼ばれていましたが、AOCの仲間入りを果たしたのを期に「ロカマドゥール」と呼ぶようになりました。南西地区ではポピュラーなシェーヴルですが、製造後10日目頃が食べ頃ですから、遠くまで旅をするチーズではありませんでした。今日、日本でも味わえるというのは、輸送が発達したおかげ。とはいっても、温度管理や湿度管理が難しく、現地で味わうようなクリーミィなロカマドゥールはなかなか手に入りません。
ところで、以前農家のアトリエで製造を見学させていただいたのですが、まるでたこ焼きの作り方に似ていて笑えてしまいました。コイン型に穴が空いた大きなステンレスの版にホエー(乳清)を抜いたカード(凝乳)を詰め、へらを使って表面を平らにして、型から抜いたらできあがり。乾燥室で24時間、余分な水分を飛ばしたら、熟成室で6日間過ごすと出荷可能です。食べ頃は10~12日。