素朴なカンタルがクリュ ボジョレーで洗練された味に
カンタルのふるさとはフランス中央山塊のオーヴェルニュ地方です。フランスチーズの中でも最古の歴史を持つと言われるカンタルは、2000年も前から作られていたと言われます。「貧しい田舎」のイメージを持つオーヴェルニュ地方は、ぶどうや小麦が育たず、痩せた土地で育つ豊かな牧草を利用してチーズづくりを盛んに行ってきました。夏の間は、山間にあるビュロンと呼ばれる石造りのチーズ小屋で、牛と生活を共にしてチーズをつくってきましたが、最近では平地で作られるようになりました。そのせいか、表面の亀裂にチーズダニが入り込んでいるような熟成したカンタルにはお目にかかれなくなりました。
山のチーズは、一般的に銅鍋で乳を加熱しながら作りますが、カンタルは加熱しません。桶に凝固剤を加えて出来たカードは布巾に包み、圧搾して水分を切る作業を数回繰り返します。そのカードをしばらく寝かせた後、ボロボロの状態に砕き、それに塩を加えた後、型に詰めて成形します。
若い、又は優しい味(ジュンヌ、ドゥ)は30日熟成。中間または黄金色(アントル・ドゥ、ドレ)は2~6ヵ月熟成。さらに充分熟成した(ヴュー)は6ヵ月以上熟成していなければなりません。