“マンマの味”のチーズには、ワインも気分も甘口で
イタリア・ピエモンテ州アスティ県の丘陵地帯にある避暑地、ロッカヴェラーノ。かつてこの辺りの農家は、ワインもチーズも作って生計をたてていたといいます。
「ロビオラ」、または「トゥーマ」と呼ぶチーズは、300gほどの手のひらにのるような丸いチーズの代名詞です。山羊乳製、牛乳製、羊乳製、あるいは混乳製もありという、各家庭でレシピが違うチーズなので、“マンマの味のチーズ”と表現したほうが分かりやすいかもしれません。
D.O.P.(保護指定原産地呼称)の規定は山羊乳製が基本ですが、季節によっては牛乳(最高85%まで)を混合することが許可されています。それだけに、農家の差だけにとどまらず、季節によっても味の違いが生じます。最高のロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノが味わえるのは、春の終わりから秋にかけて。丘陵地に山羊の好物である、木イチゴやイバラ、野生のタイムが生い茂る頃です。
熟成期間は最低3日。熟成約1ヵ月くらいまでは、優しいミルクの風味が香ります。熟成に従って、外皮が赤みを帯びた色合いになっていきます。ロビオラの語源は、「ルビー色の」という意味の「ルベオラ」、あるいは「ルベール」だと言われていますから、昔は熟成したものを好んで食べていたのかもしれません。