2024年4月17日(水)~6月16日(日)
※各作品の出品期間は、出品作品リスト(PDF) をご参照ください。
※作品保護のため、会期中展示替を行います。
※本展では一部の作品に限り撮影可能です。詳細は会場の案内をご覧ください。
●知られざる秘蔵コレクションを多数出品
1961年の開館以来、「生活の中の美」を基本理念として収集活動を行ってきたサントリー美術館コレクションのなかから、これまであまり展示の機会のなかった作品を多数ご紹介します。
●国宝・重要文化財も大集合
国宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」や重要文化財「泰西王侯騎馬図屛風」をはじめとする、サントリー美術館が所蔵する計16件の国宝・重要文化財指定作品(国宝1件、重要文化財15件)を可能な限り出品する予定です。一つの展覧会でこれらを通覧できる貴重な機会となります。
※作品の状態、その他やむをえない事情により、展示されない場合があります。
●「メイヒン」探しをお楽しみいただく展覧会
通常の作品解説に加えて学芸員によるマニアックな情報もご用意し、作品にまつわる逸話や意外な一面をお伝えします。一見しただけではわからない隠れた情報を知れば、作品に対する印象が変わるかもしれません。造形や表現などにとどまらない視点で作品を捉え直す、自分だけの「メイヒン」探しをお手伝いします。
※展覧会会場では、章と作品の順番が前後する場合があります。
漆工は日本美術を代表する伝統的な技術であり、精緻で美しい螺鈿や蒔絵が施された調度品は、主に高貴な人々の生活の場を飾ってきました。そして現代にまで伝えられた作品のなかには、比類なき完成度の高さゆえに「名品」とされるものも少なくありません。
一方で、漆工は時代とともに一般庶民にも浸透し、生活用品としてさまざまな場面を彩ってきました。飲食具を中心とするそれらの造形は、素朴や質素であることもしばしばですが、実用的な器の佇まいは、むしろ当時の人々の暮らしぶりや息づかいを直に伝えてくれています。
漆工は時代や身分を問わず人々に寄り添ってきた道具であるからこそ、装飾的な美しさだけにとどまらない魅力を秘めています。
本章でご紹介するサントリー美術館の漆工コレクションのなかにも、「身の回りに置いて使ってみたい」と心動かされる、あなたにとっての「メイヒン」があるはずです。
サントリー美術館の絵画コレクションは「生活の中の美」を探るという観点から、主に部屋の仕切りや床の間を飾るための調度品として使われた屛風・掛軸と、当時の人々の生活を映し出す絵巻からなっています。なかでも大名や貴族といった権力者の邸宅を飾った絢爛豪華な花鳥図屛風や風俗図屛風は壮観であり、その細部にわたる躍動感あふれる描写は、現代に生きる私たちの目にも鮮やかに映ります。
他方、室町時代のお伽草子絵巻では、迫力のある劇的な描写から技法とは無縁の素朴な描写まで幅広い画風が展開しています。そしてそれらは数百年もの間、世代を超えて人々に愛され、大切に伝えられてきたものです。そうだとすれば「上手に綺麗に描くこと」だけが、必ずしも「名品」の条件ではなかったといえるでしょう。
本章では、優れた表現で誰もが認める作品はもとより、見る者の心に直接訴えてくる無邪気な作品にいたるまで、多岐にわたる日本絵画をご紹介します。「上手い」「下手」にこだわらない、おおらかな心で作品を見つめれば、味わい深い自分だけの「メイヒン」に出会えるかもしれません。
日本におけるやきものの制作は縄文時代に始まり、常に海外からの影響を強く受けながらも、時代や地域によってさまざまに発展してきました。そして桃山時代から江戸時代にいたると、日本独自の造形が花開くこととなります。大胆な意匠の美濃焼、華麗な染付と色絵の伊万里、洗練を極めた鍋島、優美で雅やかな京焼など、それらのなかには優れた造形表現で日本を代表する「名品」に位置づけられる作品も少なくありません。
しかし、日本のやきものの長い歴史を見渡せば、美術品である以前に、人々の暮らしを支える必需品であったことを忘れることはできません。たとえば近代に評価の進んだ中世の壺は、貯蔵のための器として何世代にもわたって人間の手で伝えられてきた姿にこそ重みがあるのです。それはまさに生活の中で生み出された美の形といえるでしょう。
本章では、奈良時代から江戸時代にいたるサントリー美術館の多彩な陶磁コレクションをご覧いただきます。それぞれの作品がたどってきた歴史を紐解けば、「メイヒン」たちの知られざる魅力が見えてくるはずです。
生活のさまざまな局面に合わせて身なりを整える「装い」という行為において、染織品や装身具はその基本となるものであり、人々の美意識が凝縮されています。
たとえば和装の源流である小袖は、季節や儀礼に合わせて素材や模様が選ばれており、当時の暮らしの一端を垣間見ることができるでしょう。また、津軽の「こぎん刺し」や沖縄の「紅型」などでは、それぞれの地域の風土に根差した独特の美しさが注目されます。
一方の装身具では、江戸時代の飾り櫛や簪に驚くべき小さな美の世界が展開しています。その機知に富んだデザインは、髪を梳く、留めるという実用性を超えて、装わずにはいられなかった当時の人々の熱い想いが込められています。なかには一風変わった個性的なデザインも多く、それらは使う者のセンスが問われるものだったのでしょう。
今も昔もファッションの決め手は自らの「好き」にかかっています。本章では、お気に入りの服やアクセサリーを探すつもりで、自分だけの「メイヒン」を見つけてみてください。
日本の生活文化に大きな影響を与えつづけてきた茶の湯は、「生活の中の美」と切っても切れない存在です。
中世に誕生した茶の湯では、日常の器のなかから自らの目によって道具を選び出し、組み合わせを工夫して、茶会に招いた客人をもてなしてきました。これによって由緒を持たない無名の作品であっても、使い手次第で名だたる「名品」となりうる道が開かれ、多種多様な茶道具が生み出されるきっかけともなったのです。
素朴な土の趣から華麗な色絵にいたるまでの幅広い作風を見せる花入や茶碗、実用性のなかにも繊細な文様や大胆な造形が織り込まれた釜、漆工品を転用した香合など、本章でご紹介するサントリー美術館の茶道具コレクションは、まさにそうした茶の湯の自由自在な美の在り方を伝えるものとなっています。
もし、このなかから道具を選んで茶会を開くとすれば、どの作品をどのように組み合わせてみたいでしょうか。自分の好みの道具を見定めることは、まさに「メイヒン」探しに他ならないといえるでしょう。
サントリー美術館のガラス・コレクションは、江戸時代の和ガラス、近世ヨーロッパのガラス、中国・清朝のガラス、そしてフランス・アール・ヌーヴォー期のエミール・ガレの作品など、産地も時代も幅広く、特に個性的なものとなっています。
これらのガラスは時代や地域が離れていても、互いに何らかの交流を持ってきました。ヨーロッパ諸国へ影響を及ぼしたヴェネチアン・グラス、中国やヨーロッパから技法が伝わった和ガラス、不透明な質感がガレを魅了した清朝ガラスなど、古今東西の美が昇華され、数々の芸術性の高い「名品」が生み出されていったのです。
一方で、ガラスもまた、身近な「生活の中の美」であったことは見逃せないでしょう。突起の付いたドイツのシュタンゲン・グラス、回し飲みのためのスペインのカンティール、そしてどこか儚げな日本の脚付杯など、暮らしに根差した独特の造形世界が展開しています。
本章では王侯貴族のための華麗な作品から実用性重視の器まで、さまざまな時代や地域にわたるガラスをご紹介します。各地の生活文化を知れば、透明さや儚さとはまた違った魅力をたたえる「メイヒン」を見つけることができるでしょう。
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