サントリー美術館 開館60周年記念展
2021年9月15日(水)~10月31日(日)
ご来館のお客様へのお願い(必ずお読みください)
※入館方法が変更となる可能性がありますので、最新情報はウェブサイトでご確認ください。
※各作品の出品期間は、出品作品リスト(PDF) をご参照ください。
※作品保護のため、会期中展示替を行います。
もののふ、すなわち武家の姿としてすぐ思い浮かぶのは、合戦に赴く出で立ちに他なりません。《前九年合戦絵巻》や《後三年合戦絵巻》(ともに東京国立博物館)など、中世の合戦絵巻には、社会的にも大きな勢力となりつつあった武家が、甲冑姿で描かれています。また『平家物語』などの軍記物を題材にした絵画に描かれた弓や槍と共に太刀をふるって戦う武家の姿は、刀剣が実戦における機能性を究めることによって洗練されてきたことを物語ります。
刀剣にまつわる説話を描いた絵巻には、邪悪なものを退治する勇猛な武家とともに刀剣が象徴的に描かれています。サントリー美術館が所蔵する《酒伝童子絵巻》は、室町時代に狩野元信が描いた絵巻です。武勇で名高い源頼光が率いる渡辺綱ら四天王と藤原保昌が、刀剣によって酒伝童子を退治する一連の描写は、長大な物語の中でも迫力に富む場面となっていますが、今回が重要文化財指定後の修復を経た状態での初めての公開となります。
この章では、中世の合戦絵巻から物語絵、江戸時代の浮世絵の武者絵に至るまで、刀剣を携えた武家の姿を絵画の中に探ります。
鎧と兜に代表される甲冑武具は、古代、中世における源平合戦の時代の「大鎧」から「腹巻」「胴丸」を経て、近世の「当世具足」に至るまで、歴史的変遷をたどることができます。それらの変化はまた合戦絵巻や屛風によって確認されます。
甲冑の様式における変遷にともない、刀剣の拵など、様々な刀装具もまた、染織や漆工、金工など当時の最先端をゆく精巧な工芸技術によってみごとな装飾が施されました。一つ一つの甲冑武具や刀装具は、持ち主の格式を伝えるとともに、それぞれの時代を生きたもののふの心映えをうかがわせます。
戦国時代など、長い歴史の中には武家が合戦に明け暮れた時代もありましたが、武家の日常の暮らしぶりは《調馬・厩馬図屛風》(多賀大社)などに見られるように、馬を調教したり、剣術の鍛錬に勤しむ他にも、雙六に興じ、茶を嗜むなど、人間らしい側面もありました。武家風俗画に登場する武家の晴れやかな表情は、合戦とはまた別の心のありようを見せています。
また江戸時代初期に多数描かれた「職人尽図」には「甲冑師」「矢細工師」「馬具師」などとともに「研師 」や「鐔師」の暮らしがその工房とともに克明に描かれています。
近世の華麗な拵や、鐔、三所物の精緻な技巧の冴えは、武家の美意識を物語るとともに、ひろく刀剣文化や武家の暮らしを支えた人々の実態を今に伝えてくれます。
刀剣は武家が合戦において敵方と闘うための武器でしたが、鬼やもののけをも退治する刀剣の霊威をともなう力は、中世の軍記物などを通して、長い間、人々の信仰を集めてきました。刀剣は戦う武器としてよりも、身を守り、世の安寧を祈るものとして貴重な存在とされたのです。この章では、京都を中心に、由緒正しい神社や、崇敬を集めてきた寺院に奉納された貴重な刀剣を紹介します。それぞれの刀剣には、刀工の銘に加えて、天皇や公家、僧侶、武将など、かつて奉納した人々の名が伝わるものも少なくありません。この節では刀剣に託された人々の祈りや、様々な伝承に思いを馳せていただきます。
現代に伝わった刀剣の中には、歴史上でも有力な戦国武将がかつて所持していた伝承をともなう、貴重な名刀が燦然と輝きを見せています。ここでは源氏の重宝として名高い通称《膝丸》(大覚寺)や、織田信長が桶狭間の合戦で今川義元から奪った《義元左文字》(建勲神社)、さらには豊臣家ゆかりの《骨喰藤四郎》(豊国神社)など、時代を超えて名物として武家に愛され、数奇な伝来をたどった天下の名刀を心ゆくまでご鑑賞いただきます。
サントリー美術館には、制作年代が室町時代に遡る《日吉山王祇園祭礼図屛風》や、江戸時代前期に制作された元襖絵の《祇園祭礼図屛風》が所蔵されています。にぎやかな祭礼を描く画中には「橋弁慶山」や「浄名山」など、武家にまつわる曳山も描かれており注目されます。中でも、邪気を薙ぎ払う長刀鉾の壮麗な姿は、祇園祭礼における長刀の重要性を、これ以上なく象徴的に表していると言えるでしょう。この章では、祇園祭にみられる刀剣などを通して、祭礼行事と刀剣のかかわりをご覧いただきます。
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