2013年11月23日(土・祝)~2014年1月13日(月・祝)
※作品保護のため会期中、展示替をおこなう場合があります。
※各作品の展示期間については、美術館にお問い合わせください。
日本では、飛鳥時代に仏教が伝来したその時から、飛天は仏教空間を飾るものとして建築の一部や堂内の仏像の天蓋、光背などに表現されており、多くの作例が残っています。法隆寺金堂内陣の壁画や薬師寺東塔水煙に見られるように、天衣をなびかせ飛翔する飛天の典型的な姿は既にこの頃広く表されると同時に、童子の姿や仙人に近い姿の作例も存在し、バラエティに富んでいます。本章では、ガンダーラや中国、朝鮮の作例も交えつつ、地域、時代ごとのさまざまな飛天の姿をご紹介します。
飛天の住む浄土は、さまざまな装飾がほどこされ、きらびやかな世界であると説かれます。菩薩衆や飛天のほかにも、迦陵頻伽(かりょうびんが)や共命鳥(ぐみょうちょう)などが舞い、樹木や地には七宝が輝くとされます。そのような光景は、浄土図のほか、舞菩薩や迦陵頻伽などの形像、さらには天蓋や光背などの荘厳具類にまで表現されています。本章では、それらの作品を通して、人々が憧れた飛天舞う浄土の光景をご覧いただきます。
平安時代の後期になると、極楽往生への強い願いのもと、臨終時に阿弥陀如来および聖衆が浄土から迎えにやってくる「来迎」の思想が急速に普及しました。それに伴い、来迎を表現した美術が盛行します。そこに見る菩薩聖衆の姿は、奏楽しながら思い思いに舞い、浄土図における飛天および奏楽菩薩と共通するものです。その意味で、来迎の菩薩聖衆は飛天のイメージを引き継ぐものと言えます。本章では、華やかな舞と、妙なる音楽が満ちる来迎の表現を、彫刻・絵画作品に見ていきます。
天喜元年(1053)建立の国宝 平等院鳳凰堂は、庭園も含め全体が極楽浄土を再現した阿弥陀堂で、建築、彫刻、絵画、工芸各々において創建当初のものが残る世界的にも貴重な遺例です。浄土の表現とあわせ、堂内の彫刻・絵画に表された奏楽する像には、大陸から伝来した飛天の日本的展開を見ることができます。飛天にまつわる表現は、鳳凰堂において成熟した形で集結していると言えます。
本章では、半世紀ぶりとなる鳳凰堂の修理落慶前における特別展示として、寺外初公開となる国宝 《阿弥陀如来坐像光背飛天》や、国宝《雲中供養菩薩像》など、修理期間中でなければ間近でご覧いただけない名宝を一堂に公開いたします。 さらに、鳳凰堂落慶供養後、堂内に奉納される雲中供養菩薩像の模刻像を展示し、実際に触れていただくことで菩薩像と縁を結ぶ「結縁(けちえん)」の場を構成します。平等院鳳凰堂の飛天舞うきらびやかな浄土世界と平安時代の繊細な造形をご堪能ください。
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