2009年2月7日(土)~2009年3月15日(日)
※作品保護のため会期中、展示替をおこなう場合があります。
※各作品の展示期間については、美術館にお問い合わせください。
三井寺には普段は拝観できない秘仏が数多くあります。本展では円珍の遺骨を納めると伝える国宝「智証大師坐像(御骨大師(おこつだいし))」、円珍が修業中に感得し画工に描かせたという、国宝「不動明王像(黄不動尊)」、三井寺の守護神とされる新羅善神(しんらぜんじん)堂の国宝「新羅明神(しんらみょうじん)坐像」、西国三十三所観音霊場第十四番札所観音堂の本尊、重要文化財「如意輪観音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)坐像」などをそろって公開します。
智証大師円珍(814~891年)は現在の香川県善通寺市(かがわけんぜんつうじし)に生まれ、15歳で比叡山(ひえいざん)延暦寺(えんりゃくじ)に登りました。厳しい修行を経て、仁寿(にんじゅ)3年(853)中国・唐に渡り、長安で青龍寺(せいりゅうじ)の法全阿闍梨(はっせんあじゃり)から密教の奥義(おうぎ)を受け、天安(てんあん)2年(858)膨大な経典や図像(ずぞう)などを持ち帰りました。帰国後に三井寺を再興し、貞観10年(868)に第五代天台座主(てんだいざす)となり、天台密教の興隆に大きな足跡を残しました。ここでは国宝「智証大師文書(もんじょ)」や肖像などを通じ、円珍の生涯とその人物を紹介します。
円珍の守護神とされる護法善神(ごほうぜんしん)(訶梨帝母(かりていも))や、黄不動尊、新羅明神など、三井寺の秘仏には円珍の事績と深い関係をもつものが少なくありません。三井寺での円珍の存在は大きく、円珍が逸話や伝説に富む人物であったことを物語ります。ゆかりの秘仏は、天台寺門派(てんだいじもんは)の発展とともに模写され、秘仏の分身として信仰されました。個性的な尊像が三井寺で生まれた背景に、円珍が請来した膨大な経典や図像がありました。「胎蔵図像(たいぞうずぞう)」などの密教の図像は、後世宗派を越えて注目され、「円珍請来様(しょうらいよう)」ともいわれる新たな仏の姿を生み出しました。
三井寺は白鳳(はくほう)時代に創建されたと伝え、金堂付近から白鳳時代の瓦が出土しています。平安時代9世紀に円珍により再興され、天台密教の有力寺院として繁栄する一方、比叡山延暦寺との対立のため度重なる焼き討ちに遭い、そのつど不死鳥のように蘇(よみがえ)ってきました。波乱に富む三井寺の歴史と、現在まで奇跡的に守られてきた寺宝の数々をご覧いただきます。最新の調査で平安前期9世紀に遡ると推定される不動明王坐像は、本展が初公開です。
平安後期以降、三井寺の代々の長吏(ちょうり)(住職)が熊野三山検校(くまのさんざんけんぎょう)として全国の修験(しゅげん)者(山伏(やまぶし))を統括するなど、修験寺院としての横顔をもっていました。また三井寺の修験者が巡礼した寺々は、後の「西国三十三所観音霊場(さいこくさんじゅうさんしょかんのんれいじょう)」の母胎(ぼたい)になったといわれます。三井修験(みいしゅげん)ゆかりの美術と西国三十三所第十四番札所の観音堂に奉納された品々、信仰の広がりとともに庶民に親しまれ、近江名所(おうみめいしょ)、近江八景(おうみはっけい)の一つ「三井晩鐘(みいのばんしょう)」として描かれた三井寺の姿を紹介します。
慶長(けいちょう)5年(1600)に再建された三井寺の子院、勧学院の客殿は華やかな桃山時代の障壁画で彩られています。描いたのは桃山時代を代表する絵師、狩野永徳の長男、狩野光信(1565~1608年)で、2008年(平成20)は光信の没後400年にあたります。狩野光信の代表作として名高い勧学院の障壁画を中心に、光信周辺の作品も集め、永徳の豪壮とは異なる、繊細優美な桃山後期の名品をご覧いただきます。
お雇い外国人として来日し、日本の古美術の研究・収集と保護に大きな足跡を残したアーネスト・F・フェノロサ(1853~1908年)の墓所は、三井寺子院、法明院にあります。フェノロサは、琵琶湖を一望できるこの地を愛し、法明院住職、桜井敬徳(けいとく)師に帰依、受戒(じゅかい)し法名(ほうみょう)を授かりました。2008年(平成20)はフェノロサの没後100年にもあたります。法明院の襖絵(ふすまえ)と、伝来するフェノロサの遺品などを紹介し、彼の偉業を偲(しの)びます。
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