2008年7月26日(土)~9月21日(日)
※作品保護のため会期中、展示替をおこなう場合があります。
※各作品の展示期間については、美術館にお問い合わせください。
小袖は、直線裁ちの身頃や袖を繋いだ大きな平面を持つ衣服です。まるで絵画における画面のような小袖の表情に変化をもたらすものは、刺繍や箔押しに絞り・型押し・友禅などの染色による装飾でした。この章では、装飾様式の変遷とともに小袖に表現された特徴的な模様を、「四季を彩る花・草・樹」「もようの玉手箱 身近な品々から物語まで」「あこがれの名所 広がる風景」に分類して展示します。日本独自の感覚による、模様の題材や配置構成をご覧いただきます。
現代の人々が季節の変化や儀礼の場面で衣服を選ぶように、江戸時代の女性も小袖を着替えました。季候に合せて夏は肌に涼しい麻や絽が素材として活用され、婚礼という特別な慶事には、華やかな装飾による吉祥模様があしらわれた衣装をつくり、子ども達には健やかな成長を願う気持ちを込めた模様を選びました。
また、日常の暮らしの中で外出や寝具に用いる小袖形式に類する衣服や、特殊な着装方法が見られる小袖など、小袖は多方面に利用されました。江戸時代の暮らしの一端を窺い知ることが出来る、小袖の多様な用途をご覧いただきます。
江戸時代の女性たちは新たに小袖を作るとき、最新流行の模様を掲載した、現代のファッションブックといえる「雛形本」を参考にしました。「雛形本」に想を得たと思われる小袖が今に伝えられています。小袖の模様は注文主の気持ちが込められて作られるため愛着も深く、小袖としての使命を終えた後も仕立て直して着用したり、さらには掛軸の表装に使うなど、大切に利用されてきました。
また、小袖の美しさは後世の人々の心も捉えました。洋画家の岡田三郎助(1869-1939)は、絵の材料として古い時代の染織品を集めましたが、そのなかには小袖も含まれ、彼の描く女性像を飾ることとなりました。
洗練された意匠を生み出す背景となった雛形本とそれを元に作られた小袖の数々とともに、美しい装飾を施された小袖が如何に利用されてきたかをご覧いただきます。
松坂屋京都染織参考館は新しい呉服意匠を創出する目的で、染織に関連する資料を収集してきました。特に今展覧でご覧いただく江戸時代を中心とした小袖はその規模、内容とも素晴らしいものですが、その他にも多数の資料を収蔵しています。この章では、コレクションの一端を示す、能装束や能面、調度品、装身具、小袖のデザインの変遷を辿る上で重要な資料である「雛形本」などをご覧いただきます。
松坂屋京都染織参考館(京都市中京区)は、呉服商として1611年に創業した松坂屋が、新しい呉服意匠を創出する目的で、昭和6年(1931)、京都仕入店に染織参考室を設置したのがはじまりです。江戸時代を中心にした小袖、能装束などの衣装、日本の天平裂(てんぴょうぎれ)をはじめ、コプト裂、インド更紗など古今東西の裂地類などの収集を積極的に開始し、約1万点を今日の参考館に収蔵しています。なかでも小袖は、振袖や帷子などを加えると約700点を数え、江戸時代初期より後期までを網羅する内容のコレクションです。そのなかには洋画家・岡田三郎助(1869-1939)が収集した染織品も含まれています。また、小袖の模様を載せた「雛形本」は、充実した内容を誇る国内最大級のコレクションです。
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