2007年6月16日(土)~8月19日(日)
※作品保護のため会期中、展示替をおこなう場合があります。
※各作品の展示期間については、美術館にお問い合わせください。
人は水とともに生きてきました。水のほとりで、水路を利用して、水の恵みによって―人々はさまざまなかたちで水を活かし、生活を展開させてきたのです。この章では、絵画作品を通じて、日本人と水との関わりを見つめます。水辺の景勝を描いた名所絵や、暮らしのなにげない一コマを捉えた浮世絵、水の豊かな都市での暮らしを細やかに描き出す風俗画から、水と親しみ、水を大切に暮らしてきた日本人の生活と心情が浮かび上がってきます。
日本人は長い歴史のなかで、水をいくつもの「型」に作り上げてきました。たとえば海の波は「青海波」という型になり、流水は「観世水」その他さまざまな型になりました。それさえ見れば私たちは、押し寄せる波や音を立てる水の流れを想起できるのです。この章では、定まった形を持たない水というモティーフにさまざまな輪郭を与え、デザイン化してきた日本人の水の表現、水への想像力の源泉を探ります。
水の色は?と問われると、私たちは青色を思い浮かべます。たとえそれが実際の水でなくとも、ブルーを見ることによって心が落ち着き、解き放たれるのです。それは、青という色が水を連想させるからでしょう。ここでは、色と透明感が水を連想させるガラス素材の作品と、藍色が美しい染付磁器を集めました。青の世界に心を遊ばせてみましょう。また、ここに取り上げた藍色は日本の伝統色で、近年ではジャパン・ブルーの名称などで身近な色となり、当館のミュージアムカラーともなっています。
日本人のこころは流体の水から、季節の変化や時の流れ、世のうつろいを感じとってきました。また、秋草などにみられる露に「はかなさ」を想うなど、水に託した心情表現が文芸作品のなかに多数見出されます。水は人の暮らしを潤すだけでなく、美しい言葉を誘い出してきたのです。「龍田川」や「八橋」など、和歌や物語から生まれた水の意匠は、さらに絵画、漆器や陶磁器などに取り入れられ、日本人の暮らしを彩ってきました。ここでは水を詠んだ和歌や、水にちなんだ物語が絵画や工芸品に写しかえられた例を、言葉とともに味わってみたいと思います。
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