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研究助成

成果報告

研究助成「学問の未来を拓く」

2021年度

コロナ下の「夜の街」のゆくえ

東京都立大学法学部 教授
谷口 功一

● コロナ下での夜の街の実踏調査を通して、多くの人びとの声を聞く形で、改めてそれが地域コミュニティの「社交」において重要な役割を果たしていたことが浮き彫りになった。夜の街の業態(いわゆる水商売)に関連して、ハードなディシプリンを元々持った上での議論というのが、そもそも皆無であったところ、今般のコロナ下の各種規制(休業時短要請など)の批判的検討は、本研究にしかなしえないものであり、極めて重要な社会的使命を担い得たものと強く自負している。
● 荒井の主導により、データべースの構築と分析を新たに行った。過去「スナック研究会」で行ったデータベース及びそれに基づいた分析とコロナ下での実情をデータで突合させたところ、想像を絶した数の夜の店(スナック・パブ・キャバレー・バー)が廃業していることが判明した。廃業率もさることながら、この店舗数減衰傾向は、全国に満遍なく及んでいる上に、特に都市部の大規模歓楽街で、その傾向は一層顕著であることが判明している。また、規制期間の長短も廃業に対して大きな影響を与えることが判明しており、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の継続期間が100日を超えると10ポイント以上の店舗数の減少率に影響することも判明した。
●全員参集でない形であれば、むしろオンライン上での様々なツールを介して部分的に会同し、むしろ頻繁にやり取り出来る利点を活かし、活動を行った。
●感染状況(社会状況)を見据えつつ、可能な時期には積極的に日本全国をまわって夜の街を実踏し、その現状についての調査・聴取、記録を行った。
● 調査の成果として、代表者の谷口によるPHP社Voice誌での連載「コロナ下の夜のまちのゆくえ」及び谷口とメンバーとの対談記録などをPHP新書から単行本の形でまとめて刊行する予定。

――成果物など(一部)――

■ 2021年8月11日:飯田泰之×谷口功一×速水健朗「夜の公共圏はコロナでどう変わるのか」ゲンロンカフェ(オンライン座談会) ■ 2021年8月25日:谷口功一「「飲み屋はインフラ」コロナ禍で社会は“夜の街”から崩れ出す」『FLASH』web ■ 2021年8月28日:CALL4イベント「分断や差別とたたかう――公共訴訟にできること」(谷口登壇) ■ 2021年9月発売:谷口功一×三浦瑠麗 対談「「夜の街」を見くびる政治の傲慢」『Voice』10月号 ■ 2021年9月19・26日:「夜のまち」がコロナ禍を乗り越えるために 銀座のママ・スナック研究者対談・前編・後編 ■ 2021年12月15日:「狙われたまち・すすきの」『Voice』1月号、連載 “コロナ下の夜のまち” 第1回 ■ 2022年01月15日「弘前、クラスター騒動の真実」『Voice』2月号、連載 “コロナ下の夜のまち” 第2回 ■ 2022年02月15日、荒井紀一郎「データで見る「夜の街」の縮減」『Voice』3月号 ■ 2022年03月15日、谷口功一「いわき、「非英雄的な起業家」の奮闘」『Voice』4月号、連載 “コロナ下の夜のまち” 第3回 ■ 2022年04月03日、谷口功一「若者と高齢者に等しく「行動制限」を強いるべきだったのか?――コロナ禍と世代間の公平性」新潮社Foresight ■ 2022年04月04日、谷口功一「「若者は耐えろ」でも「高齢者は死ね」でもない社会をつくる――コロナ禍と世代間の公平性」新潮社Foresight ■ 2022年04月09日、谷口功一「「夜の庭」としての武蔵新城」『Voice』5月号、連載 “コロナ下の夜のまち” 第4回 ■ 2022年05月09日、谷口功一「甲府という桃源郷」『Voice』6月号、連載 “コロナ下の夜のまち” 第5回 ■ 2022年06月09日、谷口功一「小倉で戦争を想う」『Voice』7月号、連載 “コロナ下の夜のまち” 第6回 ■ 2022年07月09日、谷口功一×飯田泰之[巻頭対談]「行動規制の緩和に本腰を入れよ」『Voice』8月号 ■ 2022年08月9日、谷口功一「雲伯地方、神々の国と鬼太郎のまち」『Voice』9月号、連載 “コロナ下の夜のまち” 第7回

2022年8月