成果報告
2019年度
人と知識と社会をつなぐメディアとしての「本」と「書店」に関する参加型研究
- 東北大学大学院情報科学研究科 講師
- 坂田 邦子
1-1. 研究⽬的、新たに得られた知見
*読書文化の再検討
現代の情報社会における、本・読書・書店の社会および文化的価値を再発見し呈⽰する新しい出版、新しい読書、新しい本文化のモデルを創る
*「参加型編集」と「循環型出版」
本のメディアリテラシーと読書のための情報リテラシーの育成本および本屋を媒体とした対話と理解による社会参加の促進
*“ヘテロトピア”*としての書店
「本」および「本屋」という空間を、コミュニティにおける多様で異なる文化、人、知識、記憶、概念などをつなぐメディア(=媒体)としてデザインする
*ミシェル・フーコー (1984) “多くの断片的な諸世界”が ⼀度に共存するような場所
1-2. 研究⽬的、新たに得られた知見
① 方法論としてのCBPR(Community Based Participatory Research)「コミュニティを基盤とした参加型研究」に基づく研究モデルの開発
② 出版研究とマス・コミュニケーション論、カルチュラル・スタディーズとのアナロジー
・「読者研究」←オーディエンス論(Morley, 1980ほか)
・「書店研究」←空間理論(Lefebvre, 1974、Soja, 1996ほか)
*研究者とのコミュニティの関係性→トップダウンではなくフラットあるいはボトムアップ
*“Social Problem”から”Research Question”へ→「理論に基づく仮説の検証」から「現場の経験に基づく仮説の検証」へ
*「研究」と「実践」の関係性→科学的精緻化の必要性
2. 達成できなかったこととその理由
*研究の⼟台となる理論的/客観的論拠の特定と基盤構築(学術的研究の蓄積が不足)
*書店の社会的意味の研究/分析(コロナ禍とその影響にともなうパラダイム・シフトによる)
*参加型研究モデルの構築(途中)(現場および研究者の「知的体力」と「物理的体力」の乖離
3. 今後の展開(研究の方向性)
*読書/書店に関する先⾏研究に基づく実証研究(オンライン・アンケート調査)
*理論方法論の精緻化と現場への貢献
*CBPRによる研究と実践の橋渡し
*原則オンラインによる実践研究/参加型研究の可能性の模索
4. 今後の展開(実践)
*読書・書店に関するオンライン調査(2021年)
*地域における「みんなのほんや」と「ないね!出版」(循環型出版と参加型編集)の実践例1)仙台「センダイ・マガジンをつくろう!」(参加型編集)2020年11月(毎週日曜日)@金港堂書店、仙台
例2)国立「鳩の湯」本(循環型出版)2020年内出版予定
2020年8月