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研究助成

成果報告

人文科学、社会科学に関する学際的グループ研究助成

2018年度

公務員制度改革後の日本の官僚人事システムに関する研究-制度変容の実態把握と理論の再構築-

早稲田大学政治経済学術院 教授
稲継 裕昭

本研究は、2000年代以降の国家公務員制度改革が中央政府の官僚人事システムにいかなる変化をもたらしたかについて実証的に明らかにし、さらに制度改革後の人事システムを説明するためのモデルを検討することを目的としている。

2008年の国家公務員制度改革基本法制定、2014年の国家公務員法等改正および内閣人事局の設置により、国家公務員制度およびその運用は大きく変容した。  

公務員制度は、官僚の「専門性」と「応答性」、また彼らのモチベーションを規定する統治構造上も重要な制度であり、一連の制度改革が現実の官僚人事システムにいかなる影響を及ぼしているかを観察・分析することは、学術的、社会的にも重要な研究課題である。そこで、本研究では、申請者の研究蓄積を生かしつつ、行政学、政治学、教育学、経済学の研究者を加えた研究班を組織して上記問題意識を共有した。

研究班メンバーにそれぞれの本課題に関連する研究報告をしてもらい、ディスカッションを繰り返した。研究代表者は上記テーマで研究遂行を行い、その一部は、「NPMと公務員制度改革」(『公務員人事改革』(2018年学陽書房)所収)および、「日本の公務員制度とその改革―130年を振り返る」(『人事院創立70周年記念誌』(2018年12月)所収)として公表した。

また、研究班メンバーがそれぞれ分担執筆して、『現代日本の公務員人事』(第一法規、2019年1月、全280頁)を上梓した。内容は次の通りである。

序章 日本の公務員人事と人事行政研究 大谷基道・河合晃一

第1部 国家公務員編

第1章 官僚人事システムの変化と実態 河合晃一

第2章 官僚人事システムと「仕切られた専門性」 伊藤正次

第3章 公務員の専門性強化の試み 申龍徹

第4章 幹部人事と政治介入制度 芦立秀朗

第5章 出向人事研究の現代的意義 村上祐介

第2部 地方公務員編

第6章 自治体における閉鎖型任用システムと「開放性」小野英一

第7章 ポスト分権改革時代における自治体の職員採用 大谷基道

第8章 遅い昇進の中の隠れた早い選抜 竹内直人

第9章 特別職の議会同意と人事行政 出雲明子

第10章 大規模災害時の職員応援システムの展開 玉井亮子

第11章 非常勤職員の発言と処遇改善 前浦穂高

2019年8月

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