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研究助成

成果報告

人文科学、社会科学に関する学際的グループ研究助成

2016年度

日本の夜の公共圏
――郊外化と人口縮減の中での社交のゆくえ

首都大学東京都市教養学部 教授
谷口 功一

1.研究の目的

本研究は主として夜間に営業する所謂「スナック」業に関し、それが驚くべき数の軒数が現時点でも営業・存在しているにも関わらず、一切の学術的研究の対象となっていない点に着目し、そこから日本の夜の社交の場たるスナックとは一体何なのかを明らかにしようとするものである。法学、政治学、歴史学、文学、統計学など一見、スナックからは縁遠く見える諸分野から、スナックとは何かを浮き彫りにしようとする野心的な試みでもある。

2.研究の進捗・成果

2015年度・第1期の定例研究会などを通じて得られた知見をもとに、2016年9月の段階で大分県の別府商工会議所主催で「スナックからの地方創生」と銘打った講演会を行い、またその際、同地において有志による研究合宿を併催した。その後は、前年度に行われた各自による報告の活字化が図られ、数次にわたる成果物刊行準備会合などを通じて、研究会の成果物である書籍の刊行が目指された。

この間、スナック情報サイト・スナッカーの「スナック研究会参加レポート」、『大分合同新聞』夕刊「My ふるさと」欄、『西日本新聞』「超短波」欄、『別府・今日新聞』、『西日本新聞』取材記事「スナックは地域の財産」、福岡RKBラジオ「二丁目お茶の間劇場」(電話出演)、『文藝春秋』2017年2月号、巻頭随筆「スナックからの地方創生」、『全国商工新聞』2017年1月31日号、『OCEANS』「スナックという名の愉楽」連載(全12回)、『日本食糧新聞』「胃心伝真=スナック今昔」、『中国新聞』「人のつながりに酔いたい~オピニオン“言”欄」、『日刊ゲンダイ』「大学地下研究室」連載第11回、MXテレビ「5時に夢中!」、『日経MJ(流通新聞)』「スナックの憩い再び」、「学者が本気でスナックを研究して分かった10のこと」デイリーポータルZ、「池内恵×谷口功一「スナック研究序説」」ニコニコ生動画・国際政治ch(仮)などで当研究会が紹介・取材され、また代表者が執筆などを行うなどして来た。7月以降も『全国商工新聞』「随想」欄(全6回連載)などを予定している。最終成果物は、2017年6月に白水社より谷口功一・スナック研究会編『日本の夜の公共圏――スナック研究序説』として刊行された。7月以降、今後、『パブリッシャーズレビュー』などの関連文章・論文が刊行される予定であり、また、書籍に関しては、ポストセブンニュース、日刊ゲンダイの取材を既に受けている。

3.今後の展望

本研究会は2017年7月末をもって第二期を終了したが、新たな研究資金の調達を行うなどして、スナックの研究体としては継続してゆきたいと考えている。なお、上記の研究成果物とは別個に、代表者の谷口の単独名義で2017年中に本研究会で得られた様々な知見と代表者自身の積年の研究成果を全て盛りこんだスナックに関する書籍を刊行する予定で、現在執筆中である(出版社は既に決まっている)。今後は、様々な形で色々な場所でスナックに関する啓蒙活動の一環として、講演などを行ってゆきたいと考えている。

2017年7月


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