成果報告
2014年度
沖縄の離島についての比較研究
- 沖縄国際大学法政研究所 特別研究員
- Robert D. Eldridge
本研究の背景と目的
本研究プロジェクトは、基本知識が少ない沖縄県の離島について学際的に研究し、その島嶼の特徴、現状と課題をはじめ、沖縄本島との関係について明かにすることを目的にしている。今年度は継続研究の申請である。
その理由は、いくつある。一つは、国際社会は、南西諸島への関心が高まりながら、その地域についての研究が意外に少ない。二つ目は、沖縄では財政、政治、教育などの内部で様々な課題がありながら、離島の状況は依然として不透明で、離島の意見がどこまで県政に反映されているのか政策的に研究する価値がある。三つ目、申請代表者は、個人、地域、国、二国間、国際的の諸次元で問題をみ、研究をしてきたので、新しい挑戦をしながら、研究仲間の輪を拡大したく、本研究プロジェクトを提案した。また、地元の研究者が参加することによって、地域の声に、本土や国際的な発表の場を提供できたらと思った次第である。
より詳細にみると、先行研究は量的のみならず、質の良いものは少なく、個別なテーマや先入観のあるものが多い。離島出身で離島在住の二人と沖縄本島の一人の沖縄県出身の研究者に加え、長年、国際関係や日米関係の中の沖縄を研究してきたアメリカ人(沖縄県中頭郡在住)が一緒に学際的に数多くの離島を訪問し調査を行い、数多くの現地や外部の知識人を招き、その研究目的をある程度達成ができたと考えている。
本研究の成果
昨年度に続いた今回のグループ研究も大いに成果があった。これからそれらを論文や本にまとめる必要があるのだが、様々なテーマが浮かび上がり、それが執筆活動において重要な参考になる。まず、第一は、沖縄の中の「沖縄問題」(本島と離島との関係)だ。次に、本島と離島との間の温度の差(諸問題の捉え方)が存在する。三つ目は、地方によって(あるいは他の地方に対して)アイデンティティの存在(あるいは違い)がある。それを背景として、政策の面で検討する課題は、離島の過疎(人材育成の課題)をはじめ、教育やインフラなどの格差、そして、経済の基盤の深化や拡充だ。また、今回、離島の離島を中心に見てきた。例えば、離島である宮古島の離島・多良間やその他の有人島を回ったが、生活の不便さを感じさせられた。
今後の課題
今後は、以上の成果を文章化していくのであるが、様々な観点からより学際的により参考になるような研究をまとめたい。安全保障上、自衛隊の配備問題はこれからますます注目されるなか、離島の生活や島民の考え方・要望に耳を向くべき。
2015年8月