成果報告
2013年度
沖縄の離島についての比較研究
- 沖縄国際大学法政研究所 特別研究員
- Robert D. Eldridge
本研究の背景と目的
本研究プロジェクトは、基本知識が少ない沖縄県の離島について学際的に研究し、その島嶼の特徴、現状と課題をはじめ、沖縄本島との関係について明かにすることを目的にしている。
その理由は、いくつかある。一つは、国際社会は、南西諸島への関心が高まりながら、その地域についての研究が意外に少ない。二つ目は、沖縄では財政、政治、教育などの内部で様々な課題がありながら、離島の状況は依然として不透明で、離島の意見がどこまで県政に反映されているのか政策的に研究する価値がある。三つ目、申請代表者は、個人、地域、国、二国間、国際的の諸次元で問題をみ、研究をしてきたので、新しい挑戦をしながら、研究仲間の輪を拡大したく、本研究プロジェクトを提案した。また、地元の研究者が参加することによって、地域の声に、本土や国際的な発表の場を提供できたらと思った次第である。
より詳細にみると、先行研究は量的のみならず、質の良いものは少なく、個別なテーマや先入観のあるものが多い。離島出身で離島在住の二人と沖縄本島の一人の沖縄県出身の研究者に加え、長年、国際関係や日米関係の中の沖縄を研究してきたアメリカ人(沖縄県中頭郡在住)が一緒に学際的に数多くの離島を訪問し調査を行い、数多くの現地や外部の知識人を招き、その研究目的をある程度達成ができたと考えている。
本研究の成果
論文や本といった具体的な成果は今後の課題ではあるが、様々なテーマが浮かび上がり、それが執筆活動において重要な参考になる。まず、第一は、沖縄の中の「沖縄問題」(本島と離島との関係)です。次に、本島と離島との間の温度の差(諸問題の捉え方)が存在する。三つ目は、地方によって(あるいは他の地方に対して)アイデンティティの存在(あるいは違い)がある。それを背景として、政策の面で検討する課題は、離島の過疎(人材育成の課題)をはじめ、教育やインフラなどの格差、そして、経済の基盤の深化や拡充だ。
今後の課題
今後は、以上の成果を文章化していくのであるが、その前に、更なる比較研究を行う。当グループ研究は、継続して二年目では、まだ現地での調査を行っていない離島(久米、大東諸島、竹富島、伊平屋など)や地域を訪問して、政治、経済、社会、教育の様々な観点から研究をし、現地の専門家や外部の方々の意見、知恵を借りながら進めていきたい。
2014年12月