成果報告
2012年度
日米印戦略対話
- 法政大学 非常勤講師
- 小谷 哲男
インド太平洋地域における安全保障上の課題に関する日米印戦略対話は、日本の岡崎研究所(Okazaki Institute)及び日本国際問題研究所(Japan Institute of International Affairs)、インド統合軍研究所(United Service Institute of India)、及び米国のヴァンダービルト大学日米センター(Vanderbilt University US-Japan Center)が共催しているものである。本対話はこれまで3 回にわたり開催された。初回は2011 年11 月デリーにおいて、第2 回は2012 年10月にワシントンにおいて、そして第3 回会合が2013 年3 月に東京において開催された。そして、本対話参加者の間で得られた主な合意点をまとめるとともに、日本、インドおよび米国の間の安全保障、防衛協力を更に強化するために取るべき政策を提言書にまとめた。
対話参加者は、インド太平洋地域は急速に経済発展を遂げつつも、さまざまな伝統的および非伝統的な安全保障上の課題に直面しているとの認識で一致した。また、日本、インドおよび米国が、インド太平洋地域における安全保障及び防衛面での主要なプレーヤーであり、多くの利益だけでなく、安全と繁栄を保障する責任を共有している。その上で、特に海洋安全保障と防衛分野における3カ国協力を提言した。
対話参加者は、特に3カ国がインド太平洋地域における接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力がもたらす課題に取り組むことで合意した。A2/ADの脅威を克服するためには、エア・シー・バトル構想の発展に向けた取り組みを継続するだけでなく、海洋安全保障コアリションは、オフショア・コントロール戦略及びその一環としての独自のA2/AD能力を研究しなければならない。また、この海洋安全保障協力は、将来的には3カ国にのみならず、地域の他の良識ある海洋諸国の参加も求めていくものでなくてはならない。
なお、政策提言書は日本国際問題研究所HPで公開している。
2013年9月