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研究助成

成果報告

2011年度

日米印戦略対話

岡崎研究所特別研究員
小谷 哲男

 2011年11月17−18日に、インド側協力機関であるインド統合軍研究所(USI)がニューデリーで国家安全保障セミナー”Peace and Stability in Asia-Pacific Region: Assessment of the Security Architecture”を主催した機会を捉え、日米印戦略対話(実施機関:岡崎研究所、日本国際問題研究所、ヴァンダービルト大学日米研究協力センター、アメリカ海軍大学、USI)を開催した。セミナーではリージョナル・アーキテクチャーの評価と課題を議論し、戦略対話では、アフガニスタンからの米軍撤退が及ぼす影響と、南シナ海問題、宇宙開発協力、東日本大震災における救援活動を議論した。

 研究の結果、まず地域には安全保障・経済に関する地域枠組みが重複しており、新たな地域枠組みではなく、既存の枠組みの有効活用が重要であるとの結論に達した。また、インドが米軍撤収後のアフガン・パキスタン情勢に強い懸念を持っており、インドが地域で大きな役割を果たすにはこれら隣国の安定支援が重要であることが確認された。また、日米とインドでは排他的経済水域における航行の自由の解釈が異なることが判明した。宇宙協力は日米印の能力の差が激しいため、時期尚早との結論に至った。代わりに、サイバー防衛協力が緊急の課題であることが確認された。加えて、核不拡散の重要性、福島原発事故を踏まえた原子力災害対策及び原子力民生利用協力の必要性も確認された。

 アジアにおいて日米印3カ国が取り組むべき問題として、戦略的なアフガン・パキスタン支援の実施、民間も含めたサイバー防衛協力、排他的経済水域における航行の自由の解釈の相違の調整、核不拡散及び原子力民政協力が優先課題として浮かび上がってきた。これらに関して早急に具体的な3カ国協力のあり方を議論し、政府に提言する必要があろう。

2012年9月

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