サントリー文化財団

menu

サントリー文化財団トップ > 研究助成 > 助成先・報告一覧 > 交流・協働による日本里山の環境保全

研究助成

成果報告

2010年度

交流・協働による日本里山の環境保全
― 異文化の視点から

内蒙古大学外国語学院教授
マイ リーサ

この研究は中国モンゴル大学と海外研究者による共同研究である。中国経済の急成長の激流の中で、少数民族など辺境地域の人々は、今後どのようにすれば自らの伝統文化を守りながら暮らしていけるのか、それを支える新たな社会の仕組みの形成が求められている。同大学は、草原の環境保全における協力体制の開発を行っている。しかし、今まで、異なる世界で活動してきた企業、NPO、住民などが環境問題解決のために、どのように協力していくのかは、難題である。そのため、国内外での先駆的な活動の成果や情報を取り入れることが緊急に求められている。日本の場合、例えば、里地里山の保全は、都市と農村をつなぐ多様な活動によって支えられてきた。特に近年、地域住民、政府・行政・NPO・企業など多様な主体による協働の創意が見られる。それは、都市と農村をつなぐ地域づくりの活動の内実を豊かにしてきた。サントリー文化財団の研究助成により、内モンゴル大学は、中国の環境保全に資する多く情報を収集するとともに、環境保全協力体制に関する提言などを行ってきた。本プロジェトは下記の作業をした。
1)里地里山の保全にかかわる学術情報の交換と研究者の派遣、日本の研究機関との交流・提携事業を進めていた。2011年度現在で、千葉大学、立教大学、昭和女子大学などの大学と学術交流・提携関係を結んでいる。
2)自然と文化を生かした地域づくりとそれを支える都市と農村をつなぐ共生的な活動に関する事例を収集してきた。今年度、主に環境NPOなどの団体や関係者を訪問しその活動についてフイルトワーク調査を実施した。本研究の課題と関連ある先行研究や書籍や雑誌・新聞などのメディアでの報道などの参考資料も調査した。
3)2011年8月に、日本などの専門家を招致し、「東北アジアにおける多文化共生の実態研究」という国際シンポジュウムを内モンゴル自治区シリーンホト市で開き、本研究の課題について評価と今後の取り組みへのアドバイスをもらった。

研究成果
夏美鈴「日本と中国のNGOの体系比較」内モンゴル大学主催「東北アジアにおける多文化共生の実態研究国際シンポジュウム」2011年8月2-4日 
片岡慎泰 「日本の住民による景観保全実践」内モンゴル大学主催「東北アジアにおける多文化共生の実態研究国際シンポジュウム」2011年8月2-4日
胡樹 「住民参加による未来型公園の取り組みー あいな 里山づくりの事例」内モンゴル大学主催「東北アジアにおける多文化共生の実態研究国際シンポジュウム」2011年8月2-4日
マイリーサ 「交流・協働による日本の環境保全」内モンゴル大学主催「東北アジアにおける多文化共生の実態研究国際シンポジュウム」2011年8月2-4日
課題
このプロジェクトは、現在も続行中である。研究成果については、調査結果や成果を学会発表や論文発表の形で順次公表する。
今後は、引き続きその成果をセミナーや公開講座などを開催して公表する。

(2011年9月)

サントリー文化財団