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研究助成

成果報告

2007年度

沖縄県の環境保全と意思決定に関する学際的研究

沖縄大学人文学部 准教授
松本 晶子

[研究の主旨]
本研究の目的は、沖縄の移住人口の増加にともなう地域環境の保全に焦点を絞り、多様な当事者の、自然や文化環境の保全に向けての実現可能な意思決定の方法を明らかにすることである。

[研究の概要]
第1回研究会を2007年12月22〜24日、沖縄大学において開催した。

【1】松本(沖縄大学)
沖縄県における人口変動の実態について、データが提示された。全体としては人口が増加しているものの、地域によって差があること、転出や転入については住民登録が元になっているので、生活基盤を沖縄に移さない人たちの実態が把握できないことといった問題が議論された。

【2】藤澤(沖縄大学)
島嶼は自然資源や文化資源に恵まれ、観光資源としての可能性が高いことから、地域振興政策として観光が重視されている。座間味村は移住者がダイビング産業をはじめ、現在では島の最も大きな産業となっている。しかし、その資源としてのサンゴ礁は破壊が進んでいる。サンゴ礁保全への取り組みについては、近海離島が抱える独自の問題があることが報告された。

【3】田崎(楽園計画)
団塊世代を対象とした移住希望者のコーディネイトをされている田崎氏に、移住者の実態についてお話を伺った。移住希望者というとこれまでは20〜30 代が多かったが、数年前から富裕層をターゲットとした、セカンドハウスとしてのマンション建設が盛んになっている。しかし、県側は医療費の増加や失業率の増加を危惧して県外民の移住を歓迎しておらず、窓口も設定されていない。移住してくる団塊世代が楽しめるような文化や生活スタイルを創造することが重要である、といったことが話され、参加者とのあいだでさまざまな討論がなされた。

【4】高田(京都大学)
ボツワナでは、伝統的な生活をしていたグイ/ガナの人々が移住を余儀なくされた。新しい環境で、どのようにそれまでの民俗知識を活用し、対応しているのかということについて、分析した結果が示された。これらの報告をふまえて、今後この研究会をどのように進めていくべきかについて、参加者間での意見交換をおこなった。

2008年8月
(敬称略)

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