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サントリー地域文化賞 サントリー地域文化賞

活動詳細

北海道

北海道 蘭越町 2024年受賞

蘭越パームホール
音楽の楽しさを届け、地域密着のもてなしで交流の輪を広げる私設ホール

代表:金子 一憲 氏

2024年10月更新

活動紹介動画(02:00)
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蘭越パームホール

 北海道蘭越町はニセコ連峰等の山岳に囲まれた雄大な自然を有する人口4,500人ほどの農業中心の町である。代表の金子一憲氏は「蘭越町の人に質の高い音楽を聴いてもらいたい」との思いを抱くなか、土地を譲渡されたり、自身もよく訪れていた私設「札幌パームホール」(現在は閉館)から備品を受け継いだりしたことを契機に、2003年に私財を投じ「蘭越パームホール」を開館。地元の大工・知人らの協力を得て、ほぼ自分たちの手で作り上げた。以来20年以上、演奏家をホールに招き、蘭越町を中心とした人々に質の高い音楽を届けている。

 現在、冬季約半年を除き月に1〜2回公演を開催。大変響きのよいホール設計や生音の臨場感が、観客だけでなく演奏家をも魅了している。たくさんの人に音楽を聴いてもらいたいという思いから入場料は少額を貫いてきた。さらに、定番のクラシックにとどまらず、ジャズやオペラといった様々な音楽、落語や人形劇といった芸能まで公演内容は幅広い。小樽や余市などの後志地方、中には道外から訪れる熱烈ファンもいて、公演時は町内外の子供から老人まで幅広い音楽好きが集まり、大いに盛り上がる。

 公演後にホールに隣接する宿舎で催す「打ち上げ」も醍醐味の一つ。町内放送で公演の開催を聞きつけると地元農家が新鮮な食材をホールに持ち寄るなどの町民の協力もあり、地元の食材を囲んで演奏家と観客が交流する。さらに演奏家には、滞在中に農家の収穫体験などで町民と交流したり、町内の温泉や羊蹄山を望む絶景を堪能してもらったりと、温かい蘭越流のもてなしの限りを尽くす。観客だけでなく、演奏家もホールのファンとなり、ホールや音楽を中心とした交流の輪が蘭越町に広がっている。

 近年は、演奏家による公演だけでなく町民による活動もサポートする。10年ほど前、町のピアノ教室から「活動していたお寺が使えなくなり、活動場所を探している」との相談を受け、ホールを教室のために開放。今も子どもたちの学びや交流の場となっている。また、2022年には音楽を発表したいという町民の思いを汲み、音楽祭「音楽の集い」を企画。小学生から大人までアマチュアの演奏家が集まり、交流が生まれた。活動開始から20年以上経った今でもホールの活動は拡大を続けている。

 「ホールがいままで以上に『町の交流の場』になってくれたら嬉しい」と金子氏は語る。これからも蘭越パームホールには音楽と人々が集う喜びの声が響き続けるだろう。

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