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サントリー地域文化賞

活動詳細

九州・沖縄

大分県 竹田市 2019年受賞

瀧廉太郎記念音楽祭
市民が支える高校生の声楽コンクールを長年にわたり開催

代表:首藤 勝次 氏

2019年10月更新

活動紹介動画(01:58)
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瀧廉太郎記念音楽祭

 竹田市は、大分県の南西部に位置し、くじゅう連山、阿蘇外輪山、祖母山に囲まれ、竹田湧水群や久住高原を持つ、水と緑があふれる自然豊かな城下町。23歳という若さで夭折した作曲家・瀧廉太郎が幼少期を過ごし、ここで名曲「荒城の月」の曲想を得たという縁もあり、「音楽のあるまちづくり」を掲げている。

 1947年に戦後の復興の象徴として人々に夢と元気を与えようと、瀧廉太郎没後45周年を記念して「楽聖・瀧廉太郎追悼45周年記念音楽祭」をスタートさせ、県の高校声楽コンクールや管弦楽の演奏会などが催された。第3回から、九州各県音楽高等学校声楽コンクールを開始。第5回からは西部日本高校声楽コンクールへとエリアを広げていった。1992年の第46回以降は、現在の「全日本高等学校声楽コンクール」へと拡大するとともに、1位と2位の入賞者へのウィーン短期留学助成制度も創設した。2013年からは、かつて瀧廉太郎の留学先だったことが縁となり、ドイツ・ライプツィヒからの「ライプツィヒ賞」が優勝者に贈られ、ウィーン留学中にライプツィヒにも招かれる。行政と市民が一体となった実行委員会が運営を担い、不況や災害等の苦難を乗り越えて、72年間一度も休むことなく継続している。審査員は日本を代表する芸術大学や音楽大学の教授陣が務める。声楽家を目指す高校生の間では「タキレン」の名で親しまれており、若手声楽家の登竜門となっている。

 同コンクールは、例年10月中旬の3日間で、開会式、予選、本選が行われる。昨年の観客は延べ1,500人を超え、その8割弱が地元住民。また、この観客以外に期間中には延べ500人近くの市民ボランティアが活躍してコンクールを支えている。レセプション等で手作りの郷土料理を提供し、自分達で育てた植物で会場を装飾する以外に、出場する高校生やその家族、引率者など市外からの来訪者の宿泊、送迎、観光案内といった会場外でのボランティア活動も積極的に行われている。人口およそ2万人強の同市にとっては、まさに年に一度の市を挙げての大行事で、全国からの来訪者をもてなし交流することが、市民の大きな喜びであり、生きがいとなっている。「音楽のあるまちづくり」を推進する市にとっては、瀧廉太郎への想いと誇りを実感できる象徴的な活動であり、市民が音楽に触れ音楽を愛する大きなきっかけになっている。市内の6つの合唱団をはじめとする音楽団体が活発に活動しており、2017年には一度は休止した竹田市少年少女合唱団が10年ぶりに再結成された。

 今後は、コンクールとして競い、評価するにとどまらず、交流のあるライプツィヒやウィーンとの協力関係を強化するとともに、若き声楽家のその後の育成に着手するなど、新たな挑戦に期待したい。

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