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サントリー地域文化賞

活動詳細

中部

富山県 南砺市 2002年受賞

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド
ワールド・ミュージックの音楽祭を核とした地域ぐるみの異文化交流

代表:村中 清孝 氏

2002年7月更新

活動紹介動画(01:57)
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スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド

 富山県西部に広がる砺波平野は、豊かな土壌に恵まれた米作地帯である。この砺波平野のほぼ中心に位置する福野町で、それまで個々に活動をしていた町内5つの若者組織が大同団結、イベントを通じて地域の魅力を自らの手で創りあげようと、1991年4月、「スキヤキ・ネットワーク」を立ち上げた。

 福野町では、その同じ年に、町立の文化センター「ヘリオス」が落成した。ヘリオスではスキヤキ・ネットワークの活動に積極的に協力、両者の共同事業として、同年8月に第1回「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」が開催された。これは、「異文化交流」をテーマに、アジア、アフリカ、ラテンアメリカを中心とした国々の音楽、ワールドミュージックを紹介し、世界各地の文化との出会いと交流の場をつくろうというものである。

 「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」では、海外からのミュージシャンに町に滞在してもらい、コンサートやワークショップを通じ、音楽だけではなく、食べ物や彼らの文化的な背景も紹介しながら、演奏者と一般参加者、実行委員が交流を深めている。本年で12回目を迎え、当初1組しか招けなかったミュージシャンも国内外あわせて10組近くに増え、これまでに出演したミュージシャンの出身国は17カ国以上に上る。会場もヘリオス内のホールだけではなく、名刹安居寺の境内をはじめ町内数ヶ所に広がり、3日間にわたる会期中、観客は県内外から集まる。

 会場の設営やミュージシャン、一般参加者の受け入れなどの準備は、現在は、より多くの住民の参加を得て、ボランティアスタッフによる実行委員会が担っている。その数は約80人。町外から参加する人も多く、女性たちの協力も目立っている。実行委員会では、92年から、スタッフとしてのスキルアップと情報交換を目的として、フランス・アングレム市で開催される有名な音楽祭「ミュージック・メティス」と交流を始めた。毎年実行委員2名を派遣し、ミュージック・メティス側のスタッフも「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」に派遣される。

 さらに実行委員会では、海外のミュージシャンを招いて1ヶ月の講習会を行い、町の人たちがトリニダード・トバゴのスティールドラムやアフリカの打楽器ジャンベを習得した。受講者たちが結成した「スキヤキ・スティール・オーケストラ」とジャンベ隊「サラマレクム」は、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドで演奏を披露するほか、県内外各地で演奏活動を行っている。

 青年たちが始めた手作りのワールド・ミュージックの祭典は、一過性のイベントには終わらず、継続的な異文化交流、異文化理解の活動へと広がっていった。そしてそこから、地域住民自らが文化の創り手へと成長し、文化による情報発信、文化による地域の活性化へと、ますます発展しているのである。

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