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サントリー地域文化賞

活動詳細

九州・沖縄

大分県 大分市 1996年受賞

ニューCOARA
地域の情報化をいち早く提唱し、新たなネットワーク社会の可能性に挑戦

代表:後藤 国利 氏

1999年11月更新

写真
ニューCOARAのホームページ

 1985年は、通信自由化と相まって日本全国で情報化を推進する動きが大いに盛り上がった年であった。大分でも、ニューメディア実験、勉強会などが官民挙げて盛んに行われた。そうした折、地元の中小企業経営者30余名が集まり、地域の人々に使いやすいシステムをつくるための勉強会「コアラ(大分パソコン通信アマチュア研究協会)」が組織された。

 コアラでは、地域の人々が身近に親しめる独自のシステムを、行政、企業の協力を得て構築、会員同士の意見交換ができる電子メールや電子会議室といった双方向の機能を盛り込んだ。こうした取り組みによって、ネットワーク上でのコミュニケーションの面白さを発見する人々も多く、企業人、一般人といった枠をこえた地域ネットとして成長していった。

 現在の会員は約9千人で、その半数が大分県居住者。「ネアカ、ハキハキ、マエムキ」をモットーに、時事問題から家庭や学校の問題まで多岐にわたりオンライン上で議論を展開する。互いに相手の意見をよく聞き、感情に流されることなく建設的な意見を積極的に実名で書き込んで行く。議論が熟して、実際の行政制度の改正に働きかけたこともある。オンライン以外の会員活動も充実させており、毎月の会員の定例会はもとより、世界から専門家を招聘した「ハイパーネットワーク別府湾会議」を毎年開催。地域と情報化の諸問題について議論を深めている。

 コアラの提案から、全県レベルの通信網「豊の国ネットワーク」が実現。また、今後のネットワーク整備の方向性を研究するため、通産省、郵政省、県の三者共管の「ハイパーネットワーク社会研究所」が大分に設立されるなど、情報化の先導役としての役割は大きい。

 コアラは1993年に、一層公共性を高めた地域の情報インフラとなるべく「ニューCOARA」として再発足し、官民一体でホストの運営管理を行う体制を整えた。また翌年には地域ネットとしては全国で初めてインターネットの接続サービスを開始した。従来の商業ネットは東京や大阪、福岡といった大都市中心に展開されていたが、こあらは大分を拠点とし、大分を中心とした情報の提供を行っている。一方で、インターネットのある生活の楽しさをまだ利用していない人にも伝えるための情報誌を発行。また、近年問題になっているネット上の有害情報へのアクセスを制限するサービス「キッズコアラ」、外国人を対象とした「Bambooコアラ」などを展開している。

 コンピューターネットワークといえば、地域に関係なく人々が交流する場と考えられがちであるが、地域に暮らす楽しさを利用者と共につくり出すだすニューCOARAは、その後各地で誕生している地域ネットの先駆的存在であるといえる。

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