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サントリー地域文化賞

活動詳細

近畿

兵庫県 神戸市 1996年受賞

神戸ジャズ・ストリート実行委員会
プロとアマの演奏家が北野地区一帯にわたって、ユニークなジャズフェスティバルを開催

代表:末廣 光夫 氏

1999年11月更新

活動紹介動画(02:00)
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写真
神戸ジャズ・ストリート

 明治以来、国際港湾都市として栄えた神戸には、海外から多くの人や物が流れ込み、独特の文化が育まれている。外国人居留地であった北野界隈は、今も坂道のここかしこに洋館や教会が点在する異人館の街として知られる。ジャズ演奏の歴史も古く、1923(大正12)年に日本最初のジャズバンドが結成され、神戸は日本のジャズ発祥の地と言われている。

 ジャズ評論家で、長年神戸のジャズを支え育ててきた末廣光夫氏は、ライブハウスも多い北野で、ファンとプレーヤーの新しい交流の場となるようなイベントを開けないかと考えた。そして、ファンやプレーヤー、ライブハウス、市やマスコミとのネットワークをいかして実行委員会を組織し、1982年、「神戸ジャズ・ストリート」を開催した。

 神戸ジャズ・ストリートの最大の特色は、「はしご酒」ならぬ「はしごジャズ」である。それぞれに個性をもったライブハウスや洋館、教会など十数ヵ所の会場で、同時多発的にコンサートが開かれる。観客は入場券がわりのワッペンを付け、プログラムを片手に思い思いの会場に散らばってゆく。自分の好みにあわせて次から次へと会場をめぐり、音楽と街と人との出会いを楽しむことができる。

 プレーヤーは、地元のプロとアマチュアのミュージシャンに加え、海外や東京のプロも参加する。神戸ではアマチュアといっても20年30年のキャリアを持つ古強者もざらで、テクニックも確かである。目の前で外国と日本、東と西、プロとアマが、時には火花を散らし、時には和気藹々と演奏するのも、ファンにとってはたまらない魅力になっている。

 毎年楽しみにしている観客も多く、東京などからわざわざ訪れる人も含め、近年は2日間で6千人近くが集まる。お客さんの案内やプレーヤーの世話、会場運営などを担当するのは、実行委員と約百人のボランティアである。当初は、市が設立した神戸市民文化振興財団が事務を担当していたが、1992年から企画・運営のすべてを実行委員会に移した。これによってより多くの市民を巻き込む形でジャズ・ストリートは発展し、95年の阪神大震災でその真価を発揮することになった。

 震災では、実行委員やライブハウスの多くが大きな被害を受け、開催は絶望的、と誰もが思った。しかし、全国のファンや常連のプレーヤーから続々と届く励ましの声に応えようと実行委員たちは奮起した。そして、地元の人々の積極的な協力も集まり、震災から10ヵ月後、みごと第14回目のジャズ・ストリートが開催された。これによって震災で観光客が激減していた北野に人が集まり、街にそして人に活気が戻った。

 神戸ジャズ・ストリートは、震災を契機に地元との結びつきを強めた。実行委員会では、一層幅広い人々の参加が得られるように、オランダの国際ジャズ・フェスティバルや国内のステューデント・ジャズ・フェスティバルとの交流を深めている。街と人、人と人とを結びつけるかけがえのない地域の文化活動として、神戸ジャズ・ストリートはこれからも愛され続けることだろう。

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