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サントリー地域文化賞

活動詳細

東北

福島県 会津若松市 1995年受賞

童劇プーポ
長年にわたり、子供たちに夢を与える児童劇を毎年上演

代表:関 孝一 氏

1999年11月更新

活動紹介動画(02:00)
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童劇プーポ

 会津若松市は、猪苗代湖の西に位置する盆地のまち。かつては鉄道幹線から遠いこともあり、中央の劇団の地方公演もこの地を素通りするなどして、市民の文化的な欲求はあまり満たされなかった。それだけに、自分たちの手で独自の文化を創り上げようという動きが早くからあった。

 そのような中で、1957年に会津若松市で児童劇団「童劇プーポ」が、教師たちを中心に結成された。「子どもたちに夢と希望を」というスローガンのもと、今日まで40年以上にわたり休むことなく児童劇の公演活動を行っている。これまでの公演数は福島県内各地で340回をこえる。

 現在は、毎年子どもの日に開かれる会津若松市主催の「子どもまつり」での無料定期公演を中心に、県内各地からの要望にこたえて巡回公演を行っている。教師、会社員、自営業、主婦、学生などさまざまな立場にある団員34名は、それぞれの職業、家庭、学業との両立をはかり、装置、衣装、小道具などの裏方の作業もできる範囲で補い合いながら、舞台作りに精を出している。

 レパートリーは、「三びきの子ぶた」「はだかの王様」「夕鶴」「泣いた赤鬼」「ジャックと豆の木」など国内外の童話、民話や、会津の伝説から材を採った創作劇「源太の朱まつり」など数多い。質の高い児童劇を提供しようという姿勢を貫き、例えば、客席に団員から選んだ記録係を座らせ、子どもたちが劇のどの箇所で笑った、私語をした等の反応を細かく記録し、次の舞台作りにいかしている。

 1973年には、市民から街頭でカンパを募り、念願の稽古場「プーポ会館」が完成した。この会館は「童劇プーポ」の活動拠点であると同時に、稽古等のない日には会議や文化活動の場として無料開放され、地域の人々にも利用され親しまれている。今や地元で「童劇プーポ」は、児童劇の代名詞として幅広く知られる存在になり、多くの人が子どもの頃一度ならずその舞台に触れていると言われるほど、地域に深く溶け込んでいる。

 「童劇プーポ」の活動に刺激を受け、いわき市に「いわき児童劇団ポポ」が結成された。また県下の飯野町では、「地元の子どもたちにプーポの劇を是非見せたい」という主婦が中心になって公演実行委員会が結成され、チケットの販売やPRに協力するなどの活動を展開しており、「童劇プーポ」の公演が会津若松市以外でもあたたかく受け入れられている。

 1994年には、会津若松市に完成したホール「会津風雅堂」の開館を記念して「夕鶴」を上演し、立ち見が出るほどの好評を博した。これを機に福島県下の演劇人を集め、「夕鶴」の舞台について意見を交わす合評会を開くなど、日々の演劇研鑚も怠らない。地域文化賞受賞後、会津風雅堂において入場無料の感謝公演を行い、また県内の他の受賞4団体とともに、福島民報主催の「地域文化サミット」に5年間出演、団体間の交流を深めながら、県下の各地域の人々に感銘を与えた。

 今後も、子どもたちの笑顔を糧とし、地域の児童劇団として地道な活動が続けられるだろう。

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