活動詳細
和歌山県 和歌山市 1986年受賞
ミュージカル劇団「ヤング・ゼネレーション」
地域の若者文化を牽引する手作りのミュージカル劇団
代表:宇治田 敏昭 氏
1999年11月更新
舞台の上で絶叫し、力の限り歌い踊る。エネルギッシュな舞台に、“高校野球を見るような”すがすがしい感動と共感を与えるミュージカル劇団「ヤング・ゼネレーション」。
学生や社会人からなるこの劇団の平均年令は25歳。1975年、和歌山市内の中学校の先生宇治田敏昭氏が“心から打ちこめる何か”を求めていた教え子や仲間を集め、関西で初めてのアマチュア・ミュージカル劇団が誕生した。理科教室の片隅での練習、舞台装置も衣装も経験も何もないところから、宇治田氏が作・演出・振り付けを兼ね、劇団員を支え引っぱり、手づくりのミュージカル活動をスタートさせた。
79年に和歌山で初演、大阪・尼崎・京都・東京などで上演された第3作「サーカス・ミュージカル」は、各地の若者に熱烈な共感を持って迎えられた。また、各地の演劇関係者やファンとの貴重な出会い、中でも作曲家小椋佳氏との出会いは、彼らのその後の活動に大きな飛躍をもたらすことになった。
第4作「ミュージカルを撃て!」以降、同劇団は小椋氏作曲によるオリジナル曲をプレゼントされることになった。口コミで伝わった評判で、この作品には各地の自治体や教育機関から次々に公演依頼が舞い込み、95年の劇団結成20周年記念・阪神大震災支援チャリティ公演でも連日2千人の観客を集めるほどのロングランで、観客動員数は十万人をこえる大ヒットを記録している。さらに、プロにも匹敵する実力を持つと評価されるようになった同劇団は、第5作「ハネムーンはスクールバスで」をもって85年より、和歌山を皮切りに全国公演に乗り出した。冒険ともいえるこの試みは、小椋氏を中心とした東京のプロダクション関係のバックアップや公演先の青年団の協力を得て、山形・静岡・岐阜・名古屋などで立ち見が出るほどの成功を収め、和歌山から全国に向けて若者文化を発信した。
彼らは若者達の生の叫びを伝えるオリジナルのミュージカルを演じ続けてゆくことをモットーに、スターは作らず、利益を求めないアマチュアの姿勢を貫き、ワン・ステージごとに心をこめた舞台によって、実力をつけ、経験を積み、チャンスを掴み取っていった。和歌山が全国に誇ることのできる劇団となった彼らの後には、多くの若者達が続こうとしている。93年からは、12歳以上を対象として新しい舞台人育成を目標に「ヤンゼネ・ミュージカル塾」を無料で開講、これまでに200人の舞台人を育てている。また、ミュージカル劇団「ヤング・ゼネレーション」の存在を精神的な支えに、様々な文化活動が活発化し、一時のファッションではない本物の若者文化が地域に育ち始めている。