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サントリー地域文化賞

活動詳細

東北

山形県 鶴岡市 1981年受賞

白甕社
大正年間からの美術団体。息の長い安定した活動で地域文化の中核的存在として活躍

代表:今井 繁三郎 氏

1999年11月更新

写真
第98回 白甕社美術展

 山形県鶴岡市を中心とする美術団体白甕社は、1999年に創立75周年を迎え、これまで140回を超える展覧会を催してきた。おそらく美術団体として、白甕社ほど長い歴史をもつものは、日本でも稀有であろう。

 1924(大正13)年、旧制鶴岡中学生を中心に、美術教諭の新穂源治郎氏が会長となり、当時の庄内地方では珍しい洋画運動による地方文化の発展を目指して設立された。当初は「白虹社」と称したが、翌25年地主悌助氏が会長に就任、名を「白甕社」に改める。以来53年まで、地主氏はたゆまぬ努力と情熱を注ぎ、今日に至る「白甕社」の基礎を作った。

 戦中、戦後の困難な時期にも、展覧会は一度たりとも休むことなく開かれ、1948年に、同好会形式を改めて、広く一般にも開放する公募団体として新発足した。会員による春季展と、一般からの公募を含む秋季展の年2回展形式は現在まで続いている。55年には日本画団体「丹青会」が「白甕社」に加わり、同会は洋画、日本画、それに45年に設置された彫刻の3部門を擁する美術団体となった。

 75年をこえる「白甕社」の活動は、作品の出品や展覧会への参観を通じて、庄内の人々の美意識の向上、地域の美術振興と普及に大きな影響を与えてきた。また60年には、斉藤茂吉文化賞を受けるなど、単に庄内地方にとどまらず、活躍顕著な美術団体として、県全体の美術活動の発展と、水準の向上に貢献している。

 「白甕社」はまた、庄内藩校致道館に由来する致道博物館とともに、庄内地方の文化の中核となっている。「白甕社」の助け合い色紙展、写生会、美術教室など地域奉仕や教育的な活動は、美術団体としてだけでなく、多分に地域コミュニティの一員としての顔を表わしている。

 創立以来の数少ないメンバーである今井繁三郎氏(光陽会会員)を委員長とし、会員数は現在154名。教員、職場のグループなど一般社会人を中心に、平均在籍20年という会員構成は、「白甕社」の活動に、揺ぎない安定性をもたらしている。

 毎年、県民芸術祭、鶴岡・酒田両市芸術祭に参加、98年6月には姉妹都市の江戸川区文化交流展に参加、長崎の美術団体「蒼炎」との交流等、長い伝統を踏まえ、新たな飛躍に向かって模索し努力している。

 1993年県芸術祭賞、94年庄内文化賞など受賞。

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