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サントリー地域文化賞

活動詳細

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富山県 富山市 1981年受賞

劇団「文芸座」
国際演劇祭への参加、地元での開催など、世界を舞台に活躍するアマチュア劇団

代表:小泉 博 氏

1999年11月更新

活動紹介動画(2:00)
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劇団「文芸座」

 「君たちは来た、私たちは見た、そして君たちは勝った」。1977年、アイルランドのダンドーク国際アマチュア演劇コンクールで最高賞を受賞した劇団「文芸座」に対し、シーザーの言葉をもじって寄せられた審査員の賛辞である。この年文芸座は創立30周年を迎え、それまでの地域に根ざした演劇活動から世界の檜舞台へと大きく飛び出した。日本の土の匂いのする「三年寝太郎」「夕鶴」を携え、多幕物では世界唯一のこのコンクールに参加、言葉の壁を乗りこえて、英語圏外の国としては初めての最高賞に輝いたのである。

 文芸座は、敗戦間もない1948年、富山市で結成。今日まで公演回数は530回をこえる。定期公演、県芸術文化協会の活動の一環としての県民劇場、過疎山村を訪れる巡回県民劇場などで、その足跡は県内にくまなく及んでいる。全国持ち回りで毎年行われる国民文化祭や全国アマチュア演劇大会にも積極的に参加するなど、演劇文化の啓蒙・振興に大きな役割を果たして来た。

 レパートリーも先の民話劇、あるいは児童劇「森は生きている」や子どものためのミュージカルプレイ「イワンのばか」から、プリーストリーの「夜の来訪者」、チェーホフの「三人姉妹」「桜の園」、イプセンの「幽霊」、イヨネスコの「授業」まで幅広く取り組んでいる。また近年は木場久美子の「さよならパーティ」、秋元松代の「きぬという道連れ」、ブレヒトの「肝っ玉おっ母とその子どもたち」なども公演している。

 一方、ダンドークでの受賞を契機に、文芸座は各国の演劇祭に参加し、海外での公演は世界6大陸の17ヵ国30都市に及び、9作品を52公演行い、高い評価を受けている。この間、1983年には、アジアで初めての国際アマチュア演劇祭を開催。以来5回の国際演劇祭開催を企画推進してきた。目下、6回目の国際演劇祭となる「2000年とやま世界こども演劇祭」開催の準備を進めている。また、1993年に「国際アマチュア演劇サミット日本会議」、94年と99年に「アジア・アマチュア演劇サミット日本会議」を開催するなど国際的な活躍には目を見はるものがある。

 劇団は小泉博氏を中心に15名の理事による集団指導制をとっている。 メンバーは35名、ほとんどがそれぞれの職業をもった社会人で、「よき劇団員である前に、よき職業人であれ」との信条の下に、アマチュアに徹しつつ地域演劇の向上を目ざしている。

 文芸座はあくまでも地域の劇団として、地元を中心に活動を進めながらも、世界に舞台を広げ、国際的にも評価される劇団として、発展を続けている。

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