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サントリー地域文化賞

活動詳細

東北

福島県 福島市 1979年受賞

F.M.C.混声合唱団
群を抜く実力と地元や海外での幅広い公演活動で、合唱王国・福島県の土台を築く

代表:長尾 昇 氏

1999年11月更新

活動紹介動画(02:00)
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写真
F.M.C.混声合唱団

 1947年、音楽の好きな若者8名が集まりF.M.C.混声合唱団を結成、以来地道な合唱音楽の研究を続け、定期演奏会活動、合唱コンクールへの参加、テレビ、ラジオ放送への出演など半世紀をこえた時間のなかでさまざまな活動を展開してきた。現在団員は約40名、元団員を含めると1100名という大きな歴史のつながりを持つ。またF.M.C.混声合唱団の影響で、小・中学校から職場団体にわたって合唱団が結成され、県合唱連盟が県内6支部、73団体、3千人をこえる会員を擁するまでに成長、おかあさん合唱連盟も「F.M.C.に追いつき追いこせ」を合い言葉に結成された。合唱団の層の厚さと底辺の広がりは日本一といわれ、また合唱王国ともいわれる同県の現状を形づくった“機関車”役が、このF.M.C.であると県民は一致して認める。

 55年以上の活動の歴史のなかで、コンクールでの優勝は数え切れない。1947年、結成直後にいきなり優勝した県合唱コンクールをはじめ、全日本合唱コンクール東北大会、同全国大会で優勝回数の記録を塗り替えてきた。

 またF.M.C.は長い年月をかけ、ルネッサンス期のローマ法王庁付作曲家パレストリーナの曲を発掘することに成功、これをライフワークとして取り組むことを中心に、モンテヴエルディ、ジェズアルドなど、中世ルネッサンス合唱音楽のより素晴らしい演奏を目指している。そのためにメンバーはラテン語の勉強から始めなければならなかったし、大曲をこなすには何年も要したが、粘り強い努力で世界に通じる合唱を完成、1978年にはバチカン宮殿を訪問、ローマ法王の前で歌うという快挙を成し遂げた。このほかにも数回にわたる海外での合唱活動のなかで、音楽を通しての国際親善を深めてきた。

 一方、地元福島県の公演活動としても、年1回の定期公演のほか、地域の合唱祭、文化祭で群を抜いた合唱ぶりを披露。生演奏など聞くことができなかった当時には、県の文化振興策にも協力し、県内をくまなく巡って、山里の人々に音楽を聞く喜び、歌う楽しさを伝えた。

 F.M.C.合唱団の名前の由来ともなっている活動理念―音楽への美の信仰(Faith in the beauty of music)、心の和(Mental harmony)、たえざる努力、勤勉(Constant application)、この3つの柱がこれまでの素晴らしい活動を支え、明日の発展を保証していると言えるだろう。

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