夏本番!みずみずしさで涼を取る
~ジューシーなミルク滴る本物のモッツァレッラ~
モッツァレッラと言えば、今や日本各地で生産され、街中のスーパーでも見かけるほど人気のチーズ。でも皆さん、元祖モッツァレッラ「モッツァレッラ ディ ブーファラ カンパーナ」を食べたことはありますか?
「ディ ブーファラ=水牛の」という意味。本家本元のモッツァレッラはその名の通り水牛乳で作られたものなのです。生まれ故郷は風光明媚な南イタリアのカンパニア州。「ナポリを見て死ね」を言われるほど美しい、あのナポリを州都とするところです。この辺りの湿地には昔から水牛が棲息し、モッツァレッラがつくられてきました。水牛は一般的に牛に比べて搾乳量が少なく、ミルクそのものが貴重。そのためモッツァレッラの需要が増すに連れて、原価の安い牛乳製が主流になっていき、牛乳生産が豊かなイタリア北部でも製造されるようになりました。ですが今でも本場カンパーニャではモッツァレッラと言えば水牛乳製のもの。タンパク質や乳脂肪分が豊富な水牛乳ならではの濃厚なコクとジューシーさが魅力で、「フィオーリ ディ ラッテ(Fiori di latte)」と呼ばれる牛乳製とは区別されています。
水牛乳であれ牛乳であれ、モッツァレッラはパスタフィラータと呼ばれる独特の製法で作られます。まず、細かく砕いたカード(ミルクを固めて水分を抜いた生地)に熱湯を注ぎ、棒で手早くかき混ぜるとお湯の熱でカードはたちまち溶け出します。次に余分なお湯を捨てて、柔らかくなったカードをピヨ~ンと練って伸ばす(=フィラトゥーラ)うちに、特有の繊維状の生地(=パスタ)に仕上がります。その作業は日本の餅つきを連想させ、1つにまとまった生地もまた、つきたてのお餅のようにツヤツヤとしています。最後にこの生地を少しずつ引きちぎって形を作ります。この引きちぎる=mozzaturaモッツアトゥーラと呼ばれる作業が、名前の由来。ちぎったらすぐに塩水に浸けて引き締めて、ツルンとした薄い表皮が出来たら完成。
ナイフを入れると中はややボソボソッとしており、そこからジュワジュワ~ッと溢れんばかりのミルクがしみ出してくるのが本物のモッツァレッラです。大きさは一般的に250g前後の球状ですが、一口大、真珠大、三つ編みなど様々な形が存在します。