寒い季節に体温まる酔っ払いチーズのマリアージュ
朝晩冷え込む季節にはコクのあるチーズとワインを合わせたいもの。この時期にぴったりのチーズをご紹介しましょう。
その名も「オッチェリ アル バローロ」。イタリアのピエモンテ州トリノの南に位置するクーネオ県産のチーズです。「テストゥン」というチーズのまわりに、ワインの王様といわれるバローロに使われたブドウの搾りかすをまぶして熟成させます。ワインの香る中で長い眠りにつく、まさに酔っ払いチーズなのです。
「テストゥン」は、直径28~30cm、高さ約8cm、重量約8kg程度の円盤形で、季節によって牛乳製、羊乳製、山羊乳製、また混乳製など原料が異なります。その中でも、「オッチェリ アル バローロ」に使う「テストゥン」のおすすめは、牛乳をベースに山羊乳を混ぜたものです。熟成期間は6~12ヶ月。「テストゥン」には“石頭”という意味があり、1年近く熟成したチーズの表面はゴツゴツし、まるで硬い石の様です。ブドウの搾りかすと、チーズにしみこむ分だけのワインを入れた大きなワイン樽の中に、この“石頭”を入れて寝かせることで、チーズは程よく酔っぱらい食べごろを迎えます。
この「オッチェリ アル バローロ」は、オッチェッリ社のベッピーノ・オッチェッリ氏が考案し、 1999年にはスローフード協会主催の「酔っぱらいチーズ」の品評会で高い評価を得ました。今では、ヴァルカゾット(カゾット渓谷)の熟成士 アンドレア氏がそのレシピを守り続けています。