サントリー ワイン スクエア

登美の丘ワイナリー通信

ワインづくりの現場から

ぶどうづくり

日本の貴腐ワイン「サントリー登美の丘ワイナリー 登美 ノーブルドール」の手仕上げ

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サントリー登美の丘ワイナリーでは、3月30日(火)の発売に向けて、貴腐ワイン「サントリー登美の丘ワイナリー 登美 ノーブルドール 2010 (375ml)」の仕上げ作業を行いました。現代では珍しいことかもしれませんが、今も一本一本丁寧に、人の手によって仕上げていきます。

 

2010年、登美の丘ワイナリーではリースリング・イタリコに良質の貴腐果が発生しました。梅雨期にかけて高温多雨の状態が続き、梅雨明け後は記録的な猛暑となったこの年。夏場の雨は少なかったのですが、9月にまとまった降雨があり、病気に罹患するぶどうもありましたが、その分貴腐ぶどうにとっては好条件のヴィンテージとなりました。
貴腐化は徐々に進んでいき、ぶどうの糖度が45~50度に達した時点で、一粒一粒を手で収穫しました。そして更にピンセットで選果し、品質の高いぶどう果のみを醸しました。酵母を加えて2ヶ月ほどかけて小型の発酵槽で低温発酵。糖度が高すぎると中々発酵が進まないなど、貴腐ワインの醸造には非常に高度な技術が必要とされます。その後小さなステンレスタンクで約8年間熟成、さらに瓶熟を重ね、複雑で芳醇なワインへと仕上げました。

 

いよいよ出荷を控えた最後の作業は、まず地下セラーからの蔵出しです。長い眠りから目覚めたワインに刺激を与えないように、静かにラックから取り出します。

 

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そして瓶熟中にわずかについてしまった埃を1本1本綺麗にする作業に入ります。まず、コルクを確認して、万一コルク漏れなどの異常がある場合はここで取り除きます。そして瓶口もボトルのネック部分も胴周りも瓶の底も全てしっかりきれいに拭きあげます。その後は投光器に当てて、異物の混入はないか、入り身に減りはないかなどの中身の状態を確認します。

 

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次に、ロケットのような形の小型のシーラーにボトル口を差し込みキャップシールを巻き締めます。この時もシールに歪みがないかを確認しながら慎重に進めます。
 

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そして最後にラベルを貼り付けていきます。
表は瓶底から59㎜、裏は74㎜。そして表ラベルと裏ラベルの間隔は21㎜と決められています。1㎜たりともずれないようにお手製のスケールを使いながら貼る作業には、細心の注意と集中力が必要です。特にこのワインのラベルは、蒔絵がデザインされた少しつるつるとした高級感ある紙質で、扱いは容易ではありません。作業場には真剣さと緊張感が漂っていました。

 

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そもそも「貴腐ワイン」とはハンガリーのトカイ地方、ドイツのライン・モーゼル地方、フランス・ボルドーのソーテルヌ地方が銘醸地として有名なワインです。
自然界にいる貴腐菌(ボトリティス・シネレア菌 Botrytis cinerea)がぶどう果に付くと、果皮の蝋質が壊されて水分が蒸発し、糖分が著しく濃縮し“しなびた乾ぶどう”のような状態となります。これが高貴なる腐敗「貴腐」 。気温、湿度などの複雑な条件が揃ったときにしかできない、とても貴重なぶどうです。その貴腐ぶどうからつくられるワインは、複雑で深みのある香りと蜜のように甘く、その希少性から「ワインの帝王・帝王のワイン」とも呼ばれるほど。

 

3月30日(火)にリリースされる「サントリー登美の丘ワイナリー 登美 ノーブルドール 2010 (375ml)」。色は輝きのある濃い麦わら色。香りはカモミールのような花の香り、黒糖、ドライアプリコット、アカシアの蜂蜜のような甘美な香りと長期熟成により醸し出されるナッツの香りを備えております。味わいは芳醇で甘美。穏やかな酸味があり、非常に凝縮感、ボリュームが感じられ、長い余韻が楽しめます。貴腐ワインはフォアグラに合うと言われますが、食後のデザートワインとして、ブルーチーズやスイーツ等と一緒にお楽しみ頂いても美味しいです。
丁寧に丁寧につくられたこのワインは、登美の丘ワイナリーが誇る唯一無二の逸品です。ぜひ特別な日に、大切な方と味わって頂けたら幸いです♪

 

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