6月11日に山梨を含めた関東甲信越地方が梅雨入りしたと発表されました。平年より3日、去年より4日遅い梅雨入りだそうです。
連日30℃を超える気温の中、湿った空気が流れ込みどんよりとした蒸し暑い曇り空に、いよいよ鬱陶しい時期が来たなと実感するこの頃です。
そんな中、登美の丘ワイナリーの自園では、ぶどう樹に雨除け対策を施す作業が着々と進められています。
この時期は、5月末~6月上旬に小さく可愛らしい花を咲かせたぶどうが実をつけるタイミングでもあります。とても柔らかく、まだ3mmほどの小さな小さなぶどうの実を大事に育て上げたいという気持ちで、必死に頑張っています。
雨の多い日本でのワインづくりにとって、ぶどう樹をいかに健全な状態で生長させてあげるか、そのための対策をどのようにするかということは非常に重要なことなのです。
登美の丘ワイナリーでは、垣根仕立てのぶどう樹の畝の真上にかまぼこ型のビニル製の雨よけを設置しています。「トンネル」と呼ぶこの雨よけによって、ぶどう樹全体を雨から守ることができます。
ワイナリーを訪問していただいた方によくご質問を受けるのですが、この「トンネル」設置方法にはポイントがあります。
ちょっと前置きが長くなってしまいますが、、、私たちのワイナリーは登美の丘という名前がついているように、丘のてっぺんに畑があります。降った雨を畑の外に流してあげるために傾斜を利用した畑づくりをおこなっており、多くの畑で南北に垣根を設置していますが、一部は傾斜の関係で東西に近いかたちで垣根を作っている場所もあります。
登美の丘ワイナリーでは南北に抜ける風がよく吹くので、風向と同じ向きにトンネルを設置していれば、風がすぅ~~っとトンネル内を通り抜けてくれるのですが、トンネルに対して直角に風が当たる東西向きの畑の場合、トンネルビニールが吹き飛ばされてしまうことがあるんです。ですからその場合は房の上に雨除け設置し、風に飛ばされないようにしながら房を守る「グレープガード方式」で対応します。
さて、一転梅雨の晴れ間には畑での作業も気持ちよく進みます。この日は伸びた新梢をカットする「摘芯」が甲州の畑で行われていました。とりわけ樹勢の強い甲州種はこの時期どんどん枝を伸ばしていきます。適切な時期にこの摘芯作業を繰り返し行うことで、枝を伸ばすための養分を房に集中させて、ぶどう果をしっかりと生育させることができます。
見た目は大きくていかつい摘芯機ですが、新梢を切る作業はとても優しく、伸びすぎた部分だけチョンチョンというソフトなタッチで摘んでいました。この心優しい摘芯機、名前を「トミー」といいます!
栽培チームは日々畑に向き合い、天候を肌で感じ、ぶどうが寒くないだろうか、暑くないだろうかなどいつも想像し、元気に育ってくれているかな?と、時には声をかけながら樹に寄り添い作業をおこなっています。そして、このぶどうたちが、ワインへと姿をかえ、樽の中でのゆったりとしたときを経て、お客さまに召し上がっていただく瞬間に思いをはせながら、今日も畑で汗を流しています。