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登美の丘ワイナリー通信

ワインづくりの現場から

ワインづくり

「登美」の瓶熟品仕上げ。

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先日、登美の丘ワイナリーでは、ワイナリー最高峰の赤ワイン「登美」の瓶熟品仕上げを行ないましたので、今回はそのレポートをさせていただきます。

 

登美の丘ワイナリーの商品のうち、中味を瓶に詰める際に一気にラベルも貼ってそのまま出荷できるようにする商品がある一方で、今回の「登美」のように、瓶詰め時にはラベルを貼らないで、そのままワイナリーの瓶熟庫に一定期間瓶熟成をさせてから、出荷するときにラベルを貼るという商品もあります。

特にワインは瓶の中で熟成していくことが知られたお酒ですが、最高峰の「登美」などのアイテムは、ある一定期間、自らの管理のもとで瓶熟成を見守り、状態を確認してから仕上げて出荷するという方法をとっています。

ラベルを貼って熟成させるワイン会社さんもありますが、瓶熟成している間のラベルの汚損や、出荷時の関係法規の変更などがあるリスクを鑑みて、登美の丘ワイナリーでは、ノンラベル(=ラベルを貼らない状態)で、瓶熟庫に入れる方式をとっています。

なので、ノンラベルのボトルを瓶熟庫に入れる手間や、その瓶熟品を瓶熟庫から出して、改めてラベルを貼る手間を考えると非常に多くの労力を必要とするのですが、それでもワインのためにと取り組んでいます。

 

瓶熟品仕上げの最初の工程は、まず、熟成してきた瓶熟品を1本1本、瓶熟品の棚から取り出してあげる作業から行ないます。

今の季節、外は寒いので瓶熟庫の中の作業のほうがずっと温かくて体が楽です。「中のほうがあったかいわぁ」とスタッフはうれしそうにしみじみと口にしますが、まさしくその通りです。

地下に位置する瓶熟庫なので年間を通じて気温がある一定の幅で保たれるので「暑い夏には涼しく、寒い冬には温かい」のが特長です。

この日は約600本の瓶熟品を仕上げるので、瓶熟庫の棚の柵を外してから、丁寧に瓶熟品のボトルを取り出し、手渡しで小さなコンテナに入れてあげる作業を1本ずつ人の手で行ないます。

そして、瓶熟品を入れたコンテナをパレットに積んでいきますが、それも慎重に気をつけながらの作業です。

 

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パレットに詰まれた瓶熟品のパレットは、2段積みになった段階で、瓶熟庫を出た隣の瓶詰めラインの棟にフォークリフトで運んでいきます。運んでいる途中でコンテナがぐらつかないようにゴムのバンドでちゃんと固定してあげての移動です。

先日、樽熟庫の中の作業時のフォークリフトは電動式だというレポートをしましたが、ここ瓶熟庫の中でも排気ガスで瓶熟庫の中の空気を汚さないように電動のフォークリフトを使用しています。

ゆっくりとスムースに電動のフォークリフトはウィーンという静かな音とともに瓶熟品を瓶詰めラインのある棟に運んでくれます。

 

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そして、瓶詰めラインの中に運び込まれた瓶熟品は、瓶熟庫の中でうっすらと埃がかかっていたりしますので、ボトルを1本1本ちゃんときれいにしてあげる作業に入ります。

まず、コルクを確認して、万一コルク異常や口漏れなどの異常がある場合はここで取り除きます。

そして、瓶口もボトルのネック部分も胴周りも瓶の底も全てしっかりスタッフによって、きれいに1本1本ていねいに拭いてあげます。

 

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そして、きれいになった瓶熟品をラインのコンベアに乗せるのも、もちろん1本1本手作業です。

拭いてきれいになった瓶熟品ですが、念のためにスタッフが交代できちんと中味が入っているか、きれいになっているかをしっかり二重チェックしています。

 

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その後、コルクを守るために薄い錫でできたキャップシールをボトルにつけるのですが、ボトルのネックの形状に沿ってぴっちりと巻き締めていく精巧な機械です。

ちなみに、登美の丘ワイナリーの瓶詰めラインをご覧になられた方は、このキャップシールを巻き締めていく精巧な機械に「GUNZE」という表記があるのを目にされたかと思いますが、みなさんがご存知のあのアパレルメーカーの「GUNZE」さんの関係会社さんが導入に際してご協力いただきました。

織機機械で用いられる精巧な機械を扱う技術とノウハウで、イタリア製のキャップシールの機械を調整し納品していただいたと聞いています。

機械の動きを見ていると、まさに、非常に精巧な動きをしてキャップシールを巻き締めていってくれます。

 

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そしていよいよラベルを貼るのですが、「登美」のラベルは和にこだわった和紙を用いています。

ゆっくりと機械を通していくのですが、ボトルに貼るための糊の調整は、まさに職人技の世界で、微妙な調整が必要とされます。

 

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ラベルが貼られた後も1本1本スタッフによって、間違いがないか何度も確認します。

 

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登美の丘ワイナリーでは、実は、製品を段ボールに入れるのは全て人の手で行なっています。

ここでも1本1本「登美」のボトルを確認しながら箱に入れる作業をしています。まさに最終チェックです。

そして、箱に入れるときにラベルが箱の仕切りに当たって傷つかないように特別な道具を使って1本1本丁寧に段ボールの箱に入れてあげるのです。

 

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最終的に仕上がった「登美」の製品段ボールは、パレットに積み付けられて、近くの定温保管倉庫にトラックで運ばれていきます。

そして、そこから品質に留意した形で東京などのサントリーの出荷倉庫に運ばれることとなります。

 

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このように、登美の丘ワイナリーのワインづくりは「1本1本」「人の手作業」がキーワードとなります。

サントリーの他の工場などではすこぶるオートメーション化された最新鋭の高速ラインが稼動していますが、登美の丘ワイナリーの製造ラインは最新鋭とか大量とかの世界とは対極のポジションにあります。

 

登美の丘ワイナリーでは、まさしく「人の手のぬくもりが感じられるワインづくり」を実践しています。

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