サントリー ワイン スクエア

登美の丘ワイナリー通信

ワインづくりの現場から

ワインづくり

2015年新酒評価会。

2016年1月、前年2015年に仕込んだサントリーの日本ワインを評価する新酒評価会が開催されました。
 

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毎年この年明けの時期に実施しているのですが、サントリー登美の丘ワイナリーからは栽培G・醸造G・販売Gなど各部門から、また長野のサントリー塩尻ワイナリー、新潟の岩の原葡萄園、サントリー本社の生産本部やマーケティング部門からも、サントリーグループの日本ワインに関わる関係者が登美の丘ワイナリーに一堂に会してのワイン評価会です。さらには、フランスのボルドーからもサントリーが経営するシャトー・ラグランジュの椎名副会長が毎年この時期に帰国して参加されています。

 

登美の丘ワイナリー、塩尻ワイナリー、岩の原葡萄園のそれぞれのワイナリーから2015年に仕込んだ80以上におよぶワインの原酒ともいうべきサンプルを実際にテイスティングして、現時点での中味の評価や今後の商品化のディスカッションが集中して行なわれました。

 

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サントリー登美の丘ワイナリー 渡辺所長

 

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サントリー登美の丘ワイナリー 近保技師長

 

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サントリー登美の丘ワイナリー品質設計担当の吉野リーダー

 

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サントリー塩尻ワイナリー 篠田所長

 

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岩の原葡萄園 棚橋社長

 

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岩の原葡萄園 建入技師長

 

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シャトー・ラグランジュの椎名副会長も帰国しての参加

 

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生産本部やマーケティング部門からも参加

 

まずは各人が午前中に約2時間以上かけて全てのサンプルを試飲し、テイスティングリストに評価を記入した後、午後から全員が集まってのディスカッションです。
 

全員が感じたように、2015年はぶどうづくりにとって、特に黒系ぶどう品種にとって簡単な年ではありませんでした。8月中旬から9月中旬の日照不足とその後の低温で、ぶどうの着色や果実の香り成分形成に課題の残る年でした。それは、山梨のみならず長野・新潟・青森・山形それぞれの日本各地において同じことが言える現象でした。
そういう中にあって、各ワイナリーで行なったぶどうづくりの栽培面での取り組みについても発表され、意見交換もされました。着色する時期の前後の摘芯の時期を見直す対照実験や、摘房の際に残すぶどうの房の肩を落したり、水分ストレスをかけるために根を切る試みをした効果についてのそれぞれの評価や考え方の違いを共有することは互いにとって刺激になります。
また、契約栽培していただいているぶどう生産者の農家の方に協力していただき、リスクのある中でも収穫をギリギリまで待ってもらって熟度を高めるなどのさまざまな取り組みをぶどう畑では行なっていましたが、それが成果として実際の味わいの品質面で皆で確認できたことも特に印象に残りました。

 

そして、そのぶどうを受けて仕込む各ワイナリーの醸造サイドでも、品質向上のための取り組みをさまざまに展開していましたので、それらの取り組みが実際のワインの味わいとして品質向上に役立ったのかどうかを、そのワインを実際に全員が評価して議論しました。
たとえば、発酵に用いる新しい酵母の採用のための対照実験が各ワイナリーで取り組まれていました。
新しい酵母に関しても、それぞれの狙いに対しての評価が議論されます。自然なやわらかさやアロマを引き出す酵母として、2015年に初めて使用した酵母に手応えを感じました。発酵させる品種ごとの新しい酵母の効果の有無や、タンク発酵と樽発酵といった発酵方法によっての効果の有無などさまざまな切り口での議論がなされ、新しいものが良い香味を引き出していることを確認したり、従来のものが比較的良い結果もあれば、今年の作柄だけでなく諦めず継続評価したいとする意見もあり、議論は尽きません。
また、白ワインの品質向上のために2013年に導入したプレス機も3年目の使用ということで、更なる実験系を組み、その違いによる香味の確認についても、発酵の経過時間ごとの香味変化の状況についての発表やタンク発酵と樽発酵との味わい比較など、さまざまな品質向上のための取り組みがなされたことを評価していきます。
樹齢が高くなってきて良いパフォーマンスを示してくれるようになってきたビジュノワールや、新たにサントリーに協力を申し出ていただいたぶどう栽培農家さんのものを仕込んだワインの評価が可能性を感じられるものであったりなど、明るい話題もありました。


2015年のぶどう果の状態に対して現場で行なった発酵管理が良かったのか、今まで行なってきたことが本当に良かったのかという切り口でも議論が尽きません。決して現状に満足せず、ワインとしての味わいの品質にただ真摯に向き合うことが原動力となります。しかも、関係する人間の様々な意見をくみ上げ、そして、今年のこれからのワインづくりに反映させていく活動は、まだまだ続きます。渡辺所長は言います「自分達のワインの目指す方向・つくりの方向を共有して、だから自分はこう取り組むんだ・・そんな各自の、各部の協働が必要なんだ」と。
たとえば、マスカット・ベーリーAへの取り組みについて、マスカット・ベーリーAとして求められる味わいの方向性はどうなんだとの問いかけにも活発に議論されたり、当日だけでは結論の出ないテーマでしたが、実際に日本ワインに関わる多くの人間がそれぞれの意見を出して、刺激し合って考え続けることが共有していくための礎かと思います。

 

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赤ワインは、この後に樽熟成を行なうことによる香味の変化もまだまだあります。それぞれのワインの長所を引き出してあげるアッサンブラージュも品質設計の腕の見せ所でもあります。
白ワインにとっては、香りのよい引き締まった味わいのワインができた年だと評価できると言えます。
もうしばらくタンクや樽で熟成してから瓶詰めしたほうがいいものもある一方で、中には、すでに完成形に近いと思われるワインもあり、それぞれのワインが提供する味わいのタイプによってさまざまですが、それぞれのワインをこの後育成し最適なタイミングを見極めて瓶詰め、発売するのも重要なミッションです。
そして、お客様であるみなさまからのご意見をいただき、さらにまた改善していくという品質向上のための取り組みを延々とサントリーの各ワイナリーでは行なっています。日本ワインがずいぶん美味しくなったとよく言われますが、今回レポートした新酒評価会のようなPDCAをさらに繰り返し、これからも真摯にワインに向き合って全ての関係者とともに、いっそうの品質向上に向け取り組んでまいります。

 

 

【サントリー登美の丘ワイナリー】

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登美の丘シャルドネ 2013

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登美(赤)2009

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【サントリー塩尻ワイナリー】

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塩尻マスカット・ベーリーA 2013

サントリージャパンプレミアム 

岩垂原メルロ 2012

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