サントリー ワイン スクエア

登美の丘ワイナリー通信

ワインづくりの現場から

ぶどうづくり

垣根仕立てのメルロの剪定作業。
今年を考えて、来年の先も考えて。

登美の丘ワイナリーでは、垣根栽培のメルロの剪定も始まりました。

 

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垣根栽培のやり方では、大きくは「ギュイヨー・ダブル」と「ギュイヨー・シングル」の2つの仕立て方を採用しています。
今回レポートするC園のメルロは「ギュイヨー・ダブル」という仕立て方です。1本のぶどう樹の主幹から2本の枝を畝に沿って左右に配します。この枝を「結果母枝(けっかぼし)」と言って、剪定作業ではこの枝を選び、残りの枝は切り除きます。この結果母枝から今年ぶどうが生る「結果枝(けっかし)」が芽吹くのですが、結果母枝にいくつ節目を残すのか(=結果枝をいくつに設定するか)は、今年のぶどうの品質を決め、収穫量をコントロールするうえで非常に重要となります。必ずしも全ての芽が芽吹くわけではないリスクを考慮して、このC園のメルロでは1本の結果母枝に5本の結果枝を出すことを目的として6個の芽を残すように剪定をしています。つまり、1本のぶどう樹の左右に6芽ずつの芽を残す設定です。

 

剪定作業の一連の動きを解説します。

 

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    まず最初に栽培スタッフは、剪定するぶどう樹としっかり向きあいます。どの枝を今年の結果母枝にするか1本1本異なるぶどう樹に対して、その枝ぶりを見ながらどう剪定するか判断していきます。

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    枝の形状をみて結果母枝に選んだ枝を6芽を残して先端を切り落とします。冷害や乾燥に配慮して6芽の近くではなく、7芽の手前でカットします。

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    そして、選んだ結果母枝以外の枝は全て切り落とします。昨年の結果母枝も主幹近くの元から一気に切り落します。

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    ギュイヨー・ダブルの仕立てにしているので、もう片方の2本目の結果母枝も6芽を残して先端を切ります。

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    切った枝をワイヤーから引き抜くのですが、畝に沿って張ってるワイヤーに昨年の結果枝が巻きついているので、これはなかなかの力技になります。
枝を引き抜く際のワイヤーのシャンシャンという音がぶどう畑に鳴り響きます。

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    昨年の結果母枝で太いものは、剪定鋏では切れないので、のこぎりを使って主幹近くの元からバッサリと切り落します。

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    のこぎりで切った切り口が大きかったりすると、そこからぶどう樹が病気になったり腐ったりするリスクがあるので、保護剤を塗って手当てをしてあげます。

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    枝を取り去った後のワイヤーに絡んでいたぶどう樹の「巻きひげ」を丁寧に取り除いてあげます。この巻きひげを残しておくと、後に病害の原因になったりするので注意が必要です。

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    1本のぶどう樹の剪定が完了した形は1本の主幹から2本の結果母枝が上に伸びたようになっています。春になって水を吸い上げて枝の柔軟性を確認してから水平にしてあげます。
1本の樹が終われば、また次の樹をじっくり観察するところから。この繰り返しの作業です。

 

当然のことながら、ぶどう樹の形は1本1本異なり、全てが理想的な樹形になっているとは限りません。そして、永年作物であるぶどう樹の剪定作業は今だけのことを考えているわけではありません。来年のその先を考えながら剪定作業を行なっていきます。
ぶどうの房が生る高さを揃え、垣根での栽培管理をしていくために、畝に沿って張った一番下のワイヤーよりも結果母枝のポジションが低いことがいいのですが、品質の観点からいい枝を選ぶので必ずしもそういう状況になりません。そういうときは、来年以降のために、あえての「2芽残し」と言って、低い位置に今年結果枝を出す短い結果母枝を置きます。そして来年、結果母枝にする枝を得てから、今年の高いポジションの結果母枝をバッサリと落すことで来年以降のぶどう樹の樹形を保つようにするわけです。1芽だけでなく2芽を残すのも、もしもの芽吹かないリスクを考えてのことです。

 

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なので、剪定作業は今年のことを考えるだけでなく、来年の先も考えながら1本1本のぶどう樹と向き合って、お世話をしてあげる大事な作業なのです。これを25haの畑にある全てのぶどう樹に対してやっていくことになります。今、登美の丘ワイナリーの自家ぶどう畑では、剪定した枝をワイヤーから引き抜くシャンシャンという音が鳴り渡っています。

 

 

メルロを使用している登美の丘ワイナリーを代表する銘柄

 

サントリー登美の丘ワイナリー 

登美の丘(赤)2012

サントリー登美の丘ワイナリー 

登美の丘(赤)2013

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