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登美の丘ワイナリー通信

ワインづくりの現場から

ワインづくり

自家ぶどう園甲州種ぶどうのワインづくりへの取り組み

今年の登美の丘ワイナリーの自家ぶどう園の甲州は、10月末の10月29日・30日に収穫となりました。(「登美の丘ワイナリーの自家ぶどう園の甲州を収穫完了しました。」へ)
 

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遅摘みにして完熟させた香り豊かで果実成分がリッチな味わいの自家ぶどう園の甲州種ぶどうは、ワイナリーの麓エリアの破砕場に搬送し、プレスして果汁を取り出し発酵させてワインにします。単純化して言うと以上なのですが、まず今年の自家ぶどう園の甲州については、除梗せずに房のままプレスする方式をとりました。ぶどうの果実の粒と粒をつなぎ房の形にする軸である茎の部分を「果梗(かこう)」と呼びますが、通常の白ワインの仕込みの場合は「除梗(じょこう)」と言って、この果梗を外して実の粒だけをプレスして果汁を搾ります。今回の自家ぶどう園の甲州は「無除梗プレス」といって果梗を外さないで房のままにプレスすることにより、美しくピュアな果汁を取り出すことができました。
通常は、果梗に渋味のもとになる成分があるので取り除いてから搾汁するのですが、果実の粒ばかりで搾る場合はその層となった粒をかなりの圧力をかけて果汁を押し出していくことになりますが、果梗のついた状態だと果梗の軸に沿って果汁の抜け道が出来て果汁が流れでやすいという側面があります。但し、やさしく搾る=贅沢に搾るということと、搾った後の粕出しが非常に面倒という作業面での大変さがあります。

 

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そして、プレスした果汁の一部はステンレスタンクに入れ、そのまま発酵させる一方で、一部の果汁は発酵させる前に別のステンレスタンクに入れて凍結濃縮をさせました。マイナス3℃の凍結液をステンレスタンクの周りに巡回させて果汁を冷やしていくと、果汁の中の純粋な水の部分が徐々に氷の結晶となってタンクの側面に氷の層をつくっていきます。そして残った果汁はエキス分が凝縮されたものとなります。実際に果汁を取り出した後のタンクを上から見ると凍結した氷がタンクの側面にびっしりと層を作っていて、その層は20cmにも及んでいました。
約1カ月もの間、0℃以下で静置された果汁は、グラスに注ぐと美しく澄んでおり、色調は輝くような黄金色、とろみもしっかり感じます。口に含むとふっくらとした口当たりとたっぷりとした果実感を感じますが、先日のジャパンプレミアムの甲州の凍結濃縮と比べて、この時点で味わいの厚さの違いに気づきます。ぶどうというよりもプラムやアプリコットなどの肉厚な果実をイメージしてしまうほどのボリューム感です。
 

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凍結タンクから別のタンクに一旦移出した果汁は、1~2℃という低温なので、その後、しばらく休めてから今度は15℃の水を外周に巡回させることによりタンク内部の果汁の液温を徐々に上げていきます。というのも、温度が低すぎると酵母を入れても発酵を始めないため、ケアしてあげる1工程です。

 

その後、凍結濃縮した果汁は、より複雑味を持たせるために樽発酵を行ないます。
ここでのポイントは、自家ぶどう園の甲州の持ち味を生かし樽の成分や風味を過度にワインに付与させたくないため新樽は使用しないということです。そして、樽で発酵させる樽詰めの際には、発酵により発する泡が密閉された樽の内部で沸き立ってあふれ出してくるために、樽の容量の約8割くらいに決めてから果汁を樽に詰めてあげて、酵母を添加して発酵を見守ります。
また、今回の自家ぶどう園の甲州の樽発酵でも複数の酵母を使用して品質評価を行ないます。酵母がワインの酒質にどういう影響を与えるのか、登美の丘の甲州のぶどうの美質を引き出してくれるのか、ひとつひとつを評価し今までも知見の蓄積を繰り返してきましたが、今年もさらに品質を追求することで今まで以上の味わいの向上につながると考えています。
最終的には、この樽発酵・樽熟成した自家ぶどう園の甲州のワインを、タンクで発酵・熟成した自家ぶどう園の甲州のワインとアッサンブラージュ(=ブレンド)することで、最終的な「登美の丘 甲州」としての味を構築していくのですが、そのひとつひとつの味を構成するワインをしっかりと作り込むことを毎年取り組んでいるのです。

 

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今、ワイン市場では日本ワイン、特に甲州のワインへ非常に熱いまなざしが多く集まっています。
その期待に応えるべく、登美の丘ワイナリーでは甲州に対しても様々な取り組みを行なっていますが、現場のスタッフは、さらに美味しい甲州のワインをお客様にご提供していきたいと常に考えながら働いています。ぜひ、登美の丘ワイナリーの甲州をお試しください。

自家ぶどう園の甲州100%の「登美の丘 甲州」

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