先日、今年初めてのカベルネ・ソーヴィニヨンの特別区画の収穫を行ないました。
何が特別なのかと言うと、「高畝(たかうね)式栽培」といって、ぶどうの畝の作り方が特殊なのです。
2009年に造成したこの区画は、カベルネ・ソーヴィニヨンを垣根仕立ての栽培ですが、通常の他の区画の畑の平地とは異なり、ぶどうの畝を約80cmほど地上から盛り上げて造成し、その盛り上げた上にぶどうを栽培しています。
こうすることにより、水分ストレスをかける(=ぶどうの根が吸収する水分を枯渇させる)状態にすることが物理的にできるというわけです。
特にカベルネ・ソーヴィニヨンというぶどうは、成熟期に入る際に水分ストレスがかかることが、ヴェレゾン(着色)のトリガーとなることがわかっていたり、よく熟するために、水分が少ないほうがいいことがわかっています。したがって、根の張る畝の部分を高くして畝の土壌の中の水分を速やかに排出・乾燥させるという発想のもとで、この高畝式の栽培方法が開発されました。
また、台木となる品種もあまり下に向かって根を張らないものを選定しています。
通常のカベルネ・ソーヴィニヨンの区画はもっと収穫は遅いのですが、この区画は樹齢が若いということと、しっかり水分ストレスがかかるのでヴェレゾンも相対的に早く、カベルネ・ソーヴィニヨンの中では最も収穫が早い区画となります。
このカベルネ・ソーヴィニヨンの区画は、ぶどうの実がなっている位置が高畝式なので当然高い位置にあり、実は作業が平地に比べてとてもたいへんです。
ぶどうを収穫するのに際しては、高畝の上のわずかな平地に座って収穫時の選果作業を行なうのですが、しっかりと高さがあるので、ちょっとだけ怖い感じもします。また、ぶどうを入れるコンテナを置いて、畝の下から都度ぶどうを切るというやり方もあるのですが、切る動作を行なう度にスクワットのような膝の屈伸の負担がその都度あって、これもまた大変なのです。
高畝式栽培により水分ストレスがかかると、ぶどうの粒が小粒化し凝縮します。今年もこの高畝式栽培の区画から、しっかりとした甘く熟したカベルネ・ソーヴィニヨンが収穫できました。
ただ、この高畝式栽培の欠点を挙げるとすれば、畝の本数が他の同じ面積の畑に比べて、およそ半分しかないというところです。つまりは、同じ面積あたりのぶどうの獲れ高(=収穫量)が半分しかないというところが難点と言えば難点です。なので、今は登美の丘ワイナリーの一部の特別な区画のみで行なっているというのが正直なところです。しかしながら、品質のいいカベルネ・ソーヴィニヨンが得られているのは事実で、現在熟成中の登美の丘ワイナリーの最高峰の赤ワイン「登美(赤)2014」に使用しています。このように、登美の丘ワイナリーでは様々な品質向上のための取り組みを行なっています。
今年2015年の高畝式栽培のカベルネ・ソーヴィニヨンが「登美(赤)2015」になるかは、ワインとして評価をしてからのアッサンブラージュがまだ先になりますので、乞うご期待です。
(高畝式栽培のものは入っていませんが)
登美の丘ワイナリーの最高峰ワインの現行販売商品
「登美(赤)2009」
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「登美(赤)2011」
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