サントリー ワイン スクエア

登美の丘ワイナリー通信

ワインづくりの現場から

ワインづくり

今年の仕込を開始しました、リースリング・フォルテ。

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8月27日に行なわれた収穫式を皮切りに登美の丘ワイナリーでは「リースリング・フォルテ」の収穫を数日間にわたって行ない、どんどん仕込みを開始しています。

 

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登美の丘ワイナリーでは、25haの自家ぶどう畑をさらに50の区画に分けて管理していますが、リースリング・フォルテはその50区画の中の3つの区画で棚仕立てにて栽培しています。
このリースリング・フォルテは、サントリーが甲州三尺とリースリングを交配させて開発した品種です。この品種の特長である爽やかな風味を活かすように、収穫のタイミングは酸味を重視して判断します。そういう意味で、ワイナリーの自家ぶどう園の中でも収穫タイミングが最も早い品種といえます。
収穫は、全て人の手で大切に摘み取りますが、1つ1つのぶどうを必ず観察して、もしも病気になった部分などがあれば、それを取り除きながら丁寧に収穫作業を進めていきます。 

 

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そして、収穫したぶどうは、下のぶどうが上のぶどうの重さでつぶれないようにコンパクトなコンテナに重くなりすぎないように入れて、畑の数箇所にまとめてコンテナを積み重ねて置きます。それをトラクターの荷台に手で積み込んで登美の丘ワイナリーの麓エリアの醸造棟に下ろします。

 

まず、リースリング・フォルテの仕込み作業の最初は、収穫時のコンパクトなコンテナから「舟」と呼ばれる大きなステンレス製の容器にぶどうを移しかえることから始まります。かつては、コンテナのぶどうを直接「ホッパー(後述)」に投入していたのですが、作業の効率とスタッフの安全確保のために現在の方式に変更しました。

 

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ぶどうの入った「舟」はフォークリフトで持ち上げられ、スタッフの手慣れた運転でバックで進みながら、ぶどうを除梗機に入れる受け入れ口である「ホッパー」のところに運ばれて、さらに高く持ち上げられた舟が回転することによって、ぶどうは一気にホッパーに投入されます。

 

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そして、ぶどうは、ホッパーのスクリューコンベアで少しずつ「除梗機」に投入されます。
ぶどうは、「果梗(かこう)」という実の根元にある小さな茎の軸で連なって房の状態になっています。リースリング・フォルテの仕込みでは、その果梗からぶどうの果粒だけを外してあげます。「除梗機」の中にあるカゴと呼ぶ格子状の筒の中で2重らせん構造の棒がついた金属の軸が高速回転するトンネルをぶどうの房が通過する間に、ぶどうの実の粒が果梗から落とされて下のパイプに落ちて「プレス機」に送り込まれます。その一方で、残った果梗はトンネルの出口からどんどん勢いよく飛び出してきます。出てくる果梗は、ものの見事に実が外されていて、トンネルの出口に立って果梗が飛び出してくる様子を見ているのはおもしろいのですが、果汁も飛び散ってくるので長くは居られません。 

 

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そして、プレス機に送られたぶどうからは自然と果汁が滴り落ちてきますが、さらにプレス機で果汁を搾ります。プレス機は横に長い円筒の形をしていて、中で風船が膨らむことによってぶどうが内壁に押し付けられて果汁がプレスされるという構造になっています。一度にギュッと絞りきるのではなく、風船が膨らんである程度プレスしたら一旦風船がしぼみ、円筒の中に空間が生まれるので、円筒を回転させることによって、ぶどうをほぐしてから、また風船が膨らんでぶどうをプレスするという動作を繰り返します。プレスする圧力をどれくらいに設定するのか、何回繰り返すのか、それぞれのぶどうの状態を見て、また、求めるワインの品質設計を考慮に入れ、ワインメーカーたちは都度判断していくことになります。
 

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この日は8tのリースリング・フォルテを仕込みましたが、プレスした果汁は一旦1つのタンクに入れて1晩以上置くことで「清澄化」します。果肉や細かな皮など発酵にとって好ましくない様々な成分を沈殿させて、上澄みの果汁だけを発酵させるための前段階のこの準備を「清澄化」といいます。その時の果汁の状態によってどれくらい置くのかは変わってきますが、品質部門のスタッフがタンク内の果汁の濁度を分析して、判断します。そして、上澄みの果汁だけを発酵タンクに移してから培養した酵母を投入し、温度コントロールをしながら発酵を見守っていきます。発酵はぶどうの糖分をアルコールと炭酸ガスに分解していくのですが、その際に熱を発生させます。特に果実の香りを大切にしたい白ワインでは温度が上がると香りも失われてしまいます。そこで、ステンレスの発酵タンクの登場となるのですが、この発酵タンクは実は2重構造になっており、発酵中のワインが発する熱を外周に回ったパイプの冷却水で奪うことにより低温で発酵させてワインの香りを大切にした仕込みを行なうことができるのです。

 

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仕込みのこの時期、登美の丘ワイナリーのツアーで醸造エリアの見学に参加していただくと、発酵タンクに取り付けたガラス窓からプチプチと炭酸ガスを上げながら発酵を進めている発酵中のワインをご覧いただくことができます。登美の丘ワイナリーではこの発酵の様子を見ていただくための特別なタンクが2つございます。ワインのつくり手たちもお客様に見ていただきたくて、この特別なタンクを優先的に使用してくれます。ぜひ、1年でこの時期だけの発酵中のワインの様子を見に来てください。

 

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なお、仕込みの終わった破砕場では、当然のことながら、毎回毎回、使用した除梗機もプレス機も丹念に洗浄してあげます。実際のところ、仕込みの機械設備はぶどうの果汁でベトベトになっています。しっかり洗ってあげないと次の日の仕込みに悪い影響が出ます。また、除梗されて出てきたぶどうの軸の茎やプレスして出てきたぶどうの種や皮もたくさん出てきますので、やがて有機堆肥にするべくトラックに積み込んでワイナリー内の所定の場所に毎日運びます。

 

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これからの数ヶ月間、ワイナリーのスタッフは週休1日体制です。ぶどうの状態によって天候によって収穫計画は都度更新され栽培スタッフは精力的に、でも丁寧に収穫を行ないます。そして、収穫されたぶどうを醸造スタッフは毎日毎日仕込んでいきます。ぶどうの状態の情報を得て品質設計部門のスタッフと相談しながら現場の作業になります。その作業は本当にたいへんです。たいへんですが1つ1つの作業とその連携が高品質なワインづくりにつながっていく取り組みなのです。
今年の仕込みは、始まったばかりです。今回は一般的な白ワインの仕込みとしてリースリング・フォルテの仕込みを紹介させていただきましたが、今後もワインづくりの現場から登美の丘ワイナリーの取り組みを様々な角度からレポートさせていただこうと思っています。

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<ちょうど昨年2014年の今頃、仕込んでいました>

ジャパンプレミアム リースリング・フォルテ2014

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